ブラジル特許庁、存続期間に関する連邦最高裁判所判決の影響を受ける特許に関する最新決定

1月 6, 2022 at 10:47 コメントを残す

 2021年4月末から5月にわたって、ブラジルの最上級裁判所であり、主に憲法裁判所としての役割を担っている連邦最高裁判所(STF)は、ブラジル特許制度の特徴の一つである特許権存続期間の特例措置が違憲か否かについて審理を行っていました。本件の違憲訴訟の背景についてはこちらの投稿にて説明し、そして、本件の仮処分の判決についてこちらの投稿に説明しましたので、ご関心がありましたら、ご確認ください。また、審理についてはこちらの投稿に説明しましたので、ご確認ください。2021年12月14日、ブラジル特許庁(INPI)は、ブラジル連邦最高裁判所(STF)違憲訴訟第5529号(ADI#5529)において、ブラジル産業財産法第40条補項が違憲であると判定された後に特許権者による存続期間の見直しに関する不服申立についての結果が通知されました。

 ブラジル最高裁判所は、多数決でブラジル産業財産法(LPI)第9279/1996号の第40条補項を違憲としました。遡及効に関する決定について、ブラジル最高裁判所は、多数決により、ブラジル産業財産法の第40条補項を違憲とする判決の効力を制限する決定を下し、同規定に基づいて付与された期間延長を維持するために、本審理議事録の公表よって遡及効がない(ex nunc)としました。したがって、第40条補項によって既に付与され、現在も有効である特許の有効性は維持されるが、次のものについては除外されます。(i)違憲の主張が含まれている2021年4月7日(本訴訟の仮処分の一部が認められた日)までに提訴された訴訟に関わる特許、及び(ii)医薬品及びプロセス、メディカルデバイス及びヘルスケアで使用するための材料に関連する特許であって期間延長が認められていたものについては、いずれの場合も遡及効(ex tunc)が働き、ブラジル産業財産法の第40条補項に基づいて認められた期間延長が失われ、法律第9,279/1996号(ブラジル産業財産法)の第40条の部分で設定された特許の有効期間に従い、該当特許の期間延長の結果として既に生じていた具体的な保護の効果は失われます。

 2021年5月18日、ブラジル特許庁(INPI)は、遡及適用される範囲となる医薬品および医薬的な方法、および健康目的で使用される機器および/または素材に関する特許権への対応についても明記しました。ブラジル特許庁(INPI)は、違憲訴訟第5529号判決により影響を受ける医薬品および医療機器等に関する特許権を以下の基準に基づき特定し、特許の存続期間を調整するためのオフィスアクション(通知コード16.3)の発行を開始しました。

  • 事前承認を得るためにブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)に送られた特許権
  • 国際特許分類(IPC)がA61B、A61C、A61D、A61F、A61G、A61H、A61J、A61L、A61M、A61NまたはH05Gである(世界知的所有権機関(WIPO)により医薬品に関連する技術とされている)特許権
  • IPC分類がA61K/6、C12Q/1、G01N/33またはG16Hである特許権
  • 判決がcode 19.1で公表された特許権
  • 追加証明書

 ブラジル特許庁(INPI)が2021年6月22日の官報に公表したお知らせでは、存続期間調整のオフィスアクション(通知コード16.3)の影響を受けた特許権者には、当該オフィスアクションに対して不服申立を行う機会が与えられることが明記されました。不服申立が却下された場合は、ブラジル特許法第212条に基づき、行政審判を行うこともできます。

 存続期間調整のオフィスアクションに対する不服申立に関しては、以下のような措置を取ることが可能です。

  • 不服申立の理由が妥当である場合、存続期間調整のオフィスアクション(通知コード16.3)が取り消される。
  • 不服申立において、ヘルスケア等に関する請求事項を削除することで特許権の範囲が狭くなる場合、特許が再公開される。
  • 不服申立の理由が妥当ではないと判断された場合、その判断の理由が公開される(通知コード22.2)。
  • 追加の情報の要求がある場合、その旨が公開され(通知コード22.5)、60日以内に回答しなければならない。

 農薬分野の特許については、ブラジル特許庁(INPI)の法務局から法的見解が出されました。その見解では、特許権者の請求に応じて、違憲訴訟第5529号判決によって下された決定への影響を防ぐためだけでなく一般的にヘルスケア等に該当する事項を削除することはこれまでも可能であり、そうすることによってその他の請求項を判決前の存続期間のままで維持することができるとされました。

 なお、ブラジル特許庁(INPI)は、不服申立が出された案件の結果および判断基準をいつ公開するのかまだ決めていません。

ホベルト

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ブラジル特許庁が位置商標の制度の導入 ブラジル連邦最高裁判所判決の結果に関する訴訟

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