ブラジル衛生監督局(ANVISA)がバイオシミラー規制改正案への意見募集を開始

1月 16, 2024 at 12:17 コメントを残す

ブラジル衛生監督局(ANVISA)の学術理事会(DICOL)は、バイオシミラーの製造販売承認(MA)を取得するための要件の改正案に対する意見募集を開始した(2023年第1206意見募集)。同要件は、現在ブラジル衛生監督局(ANVISA)の規則第55/2010号で規定されている。

 ブラジル衛生監督局(ANVISA)の学術理事会(Dicol)は、2023年9月27日に開催された第27回総会において、今回の意見募集を全会一致で承認した。メイルーゼフレイタス報告理事の投票(2023年の投票260番)によると、本改正案はバイオシミラーの開発と製造販売承認(MA)取得をより容易にするためのもので、ブラジル衛生監督局(ANVISA)の規則を外国の規制当局が適用する基準と調和させることを目的としている。

 本改正案は、ブラジル衛生監督局(ANVISA)がバイオシミラーに関する規制を改正するためのもう一つのステップである。ブラジル衛生監督局(ANVISA)は2022年11月、バイオシミラーの製造販売承認(MA)取得に関する課題について市場関係者から情報を収集するため、2022年第15意見募集を行った。これに対し、企業は主な阻害原因として次の点を指摘した:(i)ブラジル衛生監督局(ANVISA)が課す基準が他国に比べ厳しいため、ブラジルの規制が国際的なガイドラインと調和していないこと、(ii)要求される非臨床試験および臨床試験に関して柔軟性がないこと、(iii)国内市場で比較対象となる生物学的製品を入手することが困難である一方、国際市場における比較対象製品の選択と使用に関するガイダンスがないこと。

 さらに、ブラジル衛生監督局(ANVISA)は昨年7月、当局の代表者とバイオシミラー市場で事業を行う企業の代表との間で対話を行った。その目的は、2022年第15意見募集で寄せられた意見において指摘されたいくつかの問題点と、その可能な解決策について議論することであった。

 今回の改正案では、バイオシミラー企業が指摘したいくつかの問題点に対応した。例えば、非臨床試験や臨床試験の必要性を規定する第7条と第8条には、ブラジル衛生監督局(ANVISA)に提出された技術的・科学的な正当性の根拠が外国の規制当局のガイドラインに基づくものであれば、そのような試験は対象外とすることができるという規定が含まれている。

 最後に、比較対象製品/原産製品に関して、第4条は国際市場での購入の可能性を規定しており、これはもはや国内市場で入手できないことを条件とするものではなくなった。

 今回の意見募集期間は、2023年10月11日から2023年11月24日までの45日間となる。外国企業は直接ブラジリアにあるブラジル衛生監督局(ANVISA)の本部へコメントを提出することができる。

ブラジル特許庁の工業意匠ハンドブックの新版が2023102日に施行[1]

 ブラジル特許庁は、2023年9月12日付の連邦官報を通じ、工業意匠出願の審査ガイドラインの新版を定める決議第36/2023号を公布した。また、この決議は同日付でブラジル特許庁公報2749号にも掲載された。ブラジル特許庁はまた、ハンドブックの新版のドラフト版に対して提出されたパブリック・コメントが、商標・意匠・地理的表示の審査のための手順およびガイドライン改善のための常設委員会(CPAPD)によって受領され、分析、回答されたことも通知した。ブラジルの意匠実務は、ブラジル特許庁のハンドブックの新版によって大きな影響を受けることになった。主な内容は以下の通り:

・ハーグ協定

 決議第25/2023号によって規定されるハーグ協定に基づく工業意匠の保護のために確立された手続きは、このハンドブックの新版に含まれる。

・グラフィックインターフェース及びタイポグラフィファミリー

 動的および静的グラフィックインターフェース、アイコン、タイポグラフィファミリーは、新版のハンドブック項目の5.3.10および項目5.3.12に従って、工業意匠として保護される資格があるものと正式に規定された。

・ロゴとロゴタイプ

 ロゴを工業意匠として保護する可能性、あるいはロゴタイプを含む工業意匠を保護する可能性は、ハンドブック新版の項目5.3.9に規定されている。

・破線

 破線を含む意匠の提出は、新版ハンドブックの項目5.3.4.3で定めているように、破線によって表される要素は主張される意匠の一部とはみなされず、対応する工業意匠登録によって保護されないことを理解した上で認められる。

・複雑な製品の分離された部品

 機械的相互接続のない部品で構成される複雑な製品の工業デザインの各図は、主張する製品を構成するすべての部品またはコンポーネントの配置を提示しなければならない。

・DASコード

 出願人は、新版ハンドブックの項目5.2.2で定められた優先権書類の謄本に関する提出要件を満たすために、DASコードを提出することができるようになった。

ブラジル特許庁は2023年から2026年戦略計画を公表[2]

 ブラジル特許庁は3月27日(月)、知的財産国家戦略(ENPI)に沿った、様々なプロジェクトとその目標を含む、2023年から2026年の期間の戦略計画を公表した。戦略計画書は、ブラジル特許庁の決議第10/2023号によって正式に公表された。

 計画のメインな戦略目標は、以下の9つとなる:

1.産業財産権の付与及び登録における品質とスピードを最適化し、国際的に参考になるパフォーマンス基準を達成すること。

2.産業財産権の文化及び戦略的活用を推進し、ブラジルの競争力、イノベーション、発展に貢献すること。

3.ブラジルが国際的な産業財産権制度の段階に主役になることを強化する。

4.ブラジル社会ではブラジル特許庁の社会的価値に関する認識と理解を高める。

5.パフォーマンス及びサービス提供の向上に重点を置いたデジタル変革を深化させる。

6.サービス提供能力の近代化と拡大のための持続可能な資金を確保する。

7.増大する需要に対応し、サービス提供において高いパフォーマンスを維持するために必要な労働力の補充と維持を確保すること。

8.コストパフォーマンスの高い、効率的で持続可能なロジスティクスとインフラのサポートを提供する。

9.ガバナンス及びマネジメントの実務及び制度的関係を改善する。

 ブラジル特許庁は、上記9つの戦略目標に基づき、特許出願の実体審査(出願日から計算)を現在の6.9年から2年に短縮し(2026年)、商標登録出願の実体審査(出願から1次審査まで計算)を現在の10ヶ月から1ヶ月(2026年)、商標無効の行政手続を現在の42ヶ月から15ヶ月に短縮することを目標としている。

 各戦略目標には、詳細なプロジェクトが設定されており、設定されたガイドラインと優先事項の実施を具体化することを目的としている。いくつか目立つ点がある。

 ブラジル特許庁は、特許登録の品質と俊敏性を最適化するため、人工知能ツールの利用を含めて、特許審査手続きの一部を自動化する予定だ。さらに、大学など他の第三者機関と連携して、第三者による調査も実施する予定である。また、ブラジル特許庁の規範と、Global-PPHを含む優先権付与手続きの基準を更新する予定である。

 商標出願に関しては、産業財産法の改正の検討に加え、ブラジル特許庁は、商標の実体審査における調査(オフィシャルサーチ)を廃止し、絶対的拒絶理由のみを職権で審査し、相対的拒絶理由(先行登録)は第三者からの異議申立があった場合にのみ検討することを検討する予定である。異議申立手続きも簡素化される予定だ。また、商標の「二次的意味」を認識し、非伝統的な商標を登録するための手続きを実施する予定である。

 国際的な課題では、ブラジル特許庁は、ブラジルが世界の知的財産協定や条約に参加することを優先し、工業意匠登録のためのハーグ協定の運用にまず重点を置く予定である。戦略的アジェンダには、メルコスール諸国を中心とした知的財産の地域統合のためのインセンティブや、海外での地理的表示の登録に関するリスボン協定へのブラジルの加盟に向けた研究の準備も含まれている。

ブラジル特許庁、戦略計画の第1期に準拠した目標及びプロジェクトを含む「アクションプラン2023」を公表[3]

 ブラジル特許庁(INPI)は、2023年-2026年戦略計画の発表から約1か月後、決議第15/2023号を通じて、4年間の戦略計画の実施初年度に定めた業績指標及びプロジェクトを提示する「アクションプラン2023」を公表した。

 4月末に公表された文書において、ブラジル特許庁は予算の制限が大きな課題であることを強調し、2022年に比べて技術決定に関する数値目標をいくつか減らし、専門家不足のために決定プロセスの時間を延ばした。ブラジル特許庁は、2023年の年間予算法の裁量的支出予算額である5,200万ブラジルレアルでは、技術的インフラの近代化、審査能力の拡大、サービスの質の保証に必要な投資を行う上での足かせになると述べている。ブラジル特許庁は、2023年は慢性的な予算制限のシナリオに基づいてアクションプランを達成するための転換点となる年になると考えている。

 この文書では、次の4つの戦略的プロジェクトが取り上げられている:

・特許の流れの自動化:プロセスマネージメント(BPM)の手法を取り入れ、自動化されたシステム(BPMS)の構築を目標とする。

・商標審査手続きに関するも数値目標の見直し:2023年の目標が、2022年の技術的決定件数の288,121件と比べて279,000件に減少している。これは商標出願の審査官の数が減ったことが主な原因である。その結果、技術スタッフの不足、ブラジル特許庁は、予算の制限があったが2023年中に審査官を雇える疑問があったものの、年末年始に試験を行い、2024年に審査官が入庁することができた。

・審査品質コンプライアンス:ブラジル特許庁の決定が、出願人が期待する最低限の品質基準を満たすよう、知的財産権審査のコンプライアンス検証プロセスを確立・管理することを目的とする。その範囲は、特許付与、PCT(ISA&IPEA)、商標登録付与、新たに運用が開始される意匠登録付与のプロセスを含む。

・ハーグ協定の管理:指定の受付及び処理の自動化、意匠マニュアルの第2版の発行、新しいマニュアル及び必要なシステムのトレーニングの実施などを目指す。

ブラジル特許庁、特許出願の補正に関するパブリック・コメントを開始[4]

 2023年9月14日、ブラジル特許庁は連邦官報に「1996年5月のブラジル産業財産法第9.279号第33条に基づく特許出願の審査請求の手続きおよび期限、ならび1996年のブラジル産業財産法第9.279号第32条に基づく特許出願の規範的な見直し」に対するパブリック・コメント募集の開始を掲載し、「利害関係のある団体、組織または個人」に対してコメントを提供するよう呼びかけた(コメントの提出期限は2023年10月29日)。

 現在、ブラジル産業財産法第33条では、特許出願人は出願日から36ヶ月以内に審査請求しなければならないと規定されており、これは国内出願(ブラジルで直接出願する場合)またはPCTを通じた国際出願に適用される。審査請求を提出し,対応する手数料を納付することにより,ブラジル特許庁は特許出願の審査を開始することができる。

 ブラジル産業財産法第33条に定められた期限は、特許出願に自発補正を加えるための重要な期限でもある。ブラジル産業財産法第32条によれば、「出願人は、出願時に開示した事項に限定して、審査請求まで補正を加えることができる」と規定されている。審査請求後,ブラジル特許庁は,出願の補正をクレームの範囲を制限するための補正以外は認めていない。たとえ国内移行の際に提出された明細書の裏付けがあったとしても、クレーム範囲を拡大する補正は認められない。

 ブラジル特許庁はパブリック・コメント募集を行った同規定の見直しにおいて、審査請求のための期限の36か月を短縮、あるいは廃止する改正を提案している。ブラジル特許庁によれば、本見直しは、2023年-2026年戦略計画で定められた目標、すなわち、2026年以降、特許出願は出願日または国内段階移行日から24か月以内に決定されるべきであるという目標を達成するために必要なものである。

 しかし、ブラジル特許庁は、審査請求期間の短縮や廃止が特許出願の自発補正に影響を与えることを認識していた。すなわち、出願人による補正に関して新たな期間を設けることを議論する必要があるということである。ブラジル特許庁は、いくつかの案においていくつかのオプションを提案しているが、「特許出願の自発補正期限は、審査請求期限の意図的な短縮に伴い短縮することが適切である」と考えている。これらはすべて、特許出願の審査期間を短縮するという目的のためである。

 ブラジル特許庁の滞貨削減への努力は好ましいが、提案される解決策の副作用には注意が必要である。連邦行政機関一部であるブラジル特許庁は、合理的な手続期間を保証するように行動しなければならない。

さらに、特許出願の処理にかかる時間だけに注目し、その質を無視して行政の効率性を語ることはできない。特許出願の処理の遅れが憂慮すべきレベルに達しているのは事実だが、近年はかなり改善されている。一方で、数か月を「得る」のためだけに、行政プロセスの重要な段階や管理される側の権利を制限することはできない。行政手続の遅れが審査請求期限のせいだというのは、この問題のさまざまな側面を無視した一方的な立場からの見解である。

ホベルト


[1] https://www.lickslegal.com/news/new-edition-of-the-brptos-industrial-design-handbook-comes-into-force-today

[2] https://www.daniel-ip.com/en/client-alert/bpto-initiates-public-consultation-to-expedite-patent-processing-in-brazil-by-2026/

[3] https://www.gov.br/inpi/pt-br/central-de-conteudo/noticias/inpi-divulga-plano-de-acao-2023-com-metas-e-projetos

[4] https://patentblog.kluweriplaw.com/2023/09/26/brazil-the-patent-office-is-considering-changing-terms-for-requesting-examination-and-amending-patent-applications/

 

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特許期間の調整(PTA)に関する最近の判決

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