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連邦地方裁判所、特許審査の不当な遅延に対する期間調整を認める

2026年2月10日、ブラジリア連邦地方裁判所第4連邦裁判部は、通常訴訟(事件番号:第1028978-18.2022.4.01.3400号)において原告の請求を認め、ブラジル特許庁による不当な審査遅延を理由に、特許番号PI0112646-6(権利者:ギリアド・サイエンシズ社)の存続期間を調整する現物賠償を命じた。

本件特許は2001年に出願されたが、登録は2017年であり、出願人に責任のない16年以上にわたる審査遅延があった。判決は、法律上、審査には合理的な期間が定められているにもかかわらず、ブラジル特許庁が10年以上に及ぶ遅延について正当な説明を行わなかった点を重視した。

また裁判所は、特許法上、特許権は登録によって初めて発生するため、出願から登録までの間、出願人は単なる「期待権」を有するにすぎないと指摘した。さらに、2021年の連邦最高裁判所による違憲審査(ADI第5,529号)判決により、旧特許法第40条単項に基づく登録日から10年の自動延長制度が無効とされた結果、本件特許の存続期間が実質的に短縮された経緯にも言及した。

そのうえで裁判所は、ブラジル憲法第37条第6項に基づき、行政機関の不当な遅延に対する国家賠償責任を否定できないと判断し、ブラジル特許庁に対して遅延期間を考慮した存続期間で新たな特許証を発行するよう命じた。

本判決は、ADI第5,529号により一般的な自動延長制度が廃止された後であっても、個別具体的な事案において不当な行政遅延が認められる場合には、国家賠償責任が成立し得ることを示す重要な判断である。

ホベルト

出典:Licks特許法律事務所

4月 13, 2026 at 09:06 コメントを残す

日本への公式ミッションを経て、国会議員が特許期間調整を提案する新法案を提出

2026年2月20日、連邦議員のレナタ・アブレウ氏は法案第32号/2026を提出した。同議員は、1月下旬に実施された日本への公式ミッションに参加し、特許制度およびその手続きについて理解を深めたことを契機に、本法案の提出に一層の意欲である。当該公式ミッションには、同議員のほか、他のブラジル人国会議員を含む計13名が参加した。本法案は、ブラジルにおける特許審査の長期化問題を背景としており、特にリオデジャネイロ国際大学(UFRJ)が出願した特許(PI0805852-0号)の審査に16年以上を要した事例を契機に起草された。

法案は、産業財産法(法第9,279号)に第40条のAを新設し、特許庁の責に帰すべき審査遅延があった場合に限り、最大5年間の特許期間延長を認める制度の導入を提案している。2021年の連邦最高裁判所判決(ADI第5529号)以降、ブラジルでは出願日から一律20年の存続期間が適用されており、審査遅延に対する補償制度は存在しない。

さらに、本法案は財政責任法(補完法第101号)の改正を通じて、ブラジル特許庁に関わる支出や、公的研究機関が保有する戦略的知的財産の維持・保護に不可欠な支出を予算制限の対象外とすることを提案している。また、科学技術イノベーション省の下に「戦略的特許維持国家基金(FNMPE)」を創設し、戦略的特許の保護体制を強化する方針である。

本法案は現在、連邦下院で審議中であり、今後、関連委員会での検討を経て採決に付される予定である。

ホベルト

出典:Licks特許法律事務所JIII

4月 7, 2026 at 19:41 コメントを残す

ブラジル特許庁の著名商標に関するパブコメ

 社会参加の促進を目的として,ブラジル特許庁は2025 年4 月8 日に,ブラジルにおける著名商標を証明するための調査パラメータに関するパブコメ(ブラジル特許庁公示第01/2025 号)を開始した。


 2022 年1 月17 日付の決議/INPI/PR 第08 号に対して提案された改正は,決議/INPI/PR 第08号第66 条に関するもので,具体的には同決議第65条に規定された著名性の主張の根拠となる市場調査およびイメージ調査の要件に変更を加えるものである。特に,第66 条1 項では,第65 条1 項(ブラジルの一般公衆におけるブランドの認知度)に関して全国規模の市場調査を通じて証明が行われなければならないことを定めている。第66 条2 項では,第65 条2 項(ブラジル一般公衆における商標に関係する製品およびサービスにおける品質,評判,および名声)に関して全国規模のイメージ調査を通じて証明しなければならないことを定めている。さらに,第66 条2 項A では,上記市場調査およびイメージ調査における必須パラメータについてブラジル特許庁の商標審査基準により定められることが明記されている。なお,第66 条3 項および第66 条4 項は廃止されている。


 商標審査基準についても様々な改正が提案されている。商標が高い評価を受けるための認定を申請するには,真正者は市場調査およびイメージ調査を全国規模で実施し,それに補足的な関連書類を添付することが求められる。当該調査は,定量的かつ客観的であり,少なくとも2,000 人の回答者から成る代表的なブラジル人の人口サンプルを使用しなければならない。調査内容は,ブランド認知,特定の製品またはサービスとの関連性,そしてブランドの品質,評判,名声に対する一般の認識を評価することに焦点を当てなければならない。さらに,対象とする人口サンプルは地理的,人口統計的,社会経済的な多様性を反映する必要がある。調査方法は,対面,オンライン,または電話を介して実施可能であるが,ブランドの種類や調査方法には一定の制限がある。調査結果は,調査方法,サンプルの人口統計,および回答の内訳を明確に示す詳細な形式で提出しなければならない。ブランドが高い評価を受けているとみなされるためには,認知度の割合が71% 以上である必要がある。メディア露出,法的措置,販売デー
タなどの補足的な証拠も,評価の主張をサポートするために提出することができる。

ホベルト

出典:ブラジル特許庁(INPI)

6月 3, 2025 at 16:01 コメントを残す

ブラジル公正取引委員会による標準必須特許(SEP)調査

 2025年4月23日、ブラジルの公正取引委員会(CADE)は、標準必須特許(SEP)に関する紛争に介入する権限を初めて実施し、エリクソンのライセンス活動における支配的地位の乱用に関する職権による調査の開始を勧告した。

 ブラジル公正取引委員会(CADE)は、エリクソンがモトローラおよびレノボに対して,グローバルなライセンス契約を条件でブラジルのみについて5G特許をライセンスすることを拒否したことについて,独占禁止法違反であるかどうかを調査する。すなわち,エリクソンのライセンス活動が標準必須特許(SEP)FRAND(公正,合理的,差別のない)条件に該当するかどうかを調査する。

 今回の調査は、エリクソンとレノボが2025年4月上旬に広範な特許侵害紛争について和解し、ライセンス契約によって解決した後に始まった。レノボは,2014年にモトローラ・モビリティを買収した後,エリクソンとそのモバイル5G特許ポートフォリオのライセンス契約を結ぶために数年にわたって交渉を行っていた。しかし,エリクソンは,(イギリスやブラジルを含む)世界中でレノボおよびモトローラ・モビリティに対して,特許侵害訴訟を提起していた。2024年,モトローラとレノボは,エリクソンに対してブラジルでの暫定的ライセンスを強制するための仮処分を伴う独占禁止法違反に関する予備審査をブラジル公正取引委員会(CADE)に請求した。

 ブラジル公正取引委員会(CADE)の調査部門は、2024年11月に上記仮処分の請求を却下したため,レノボはその決定に対してブラジル公正取引委員会(CADE)の審判機関に不服申し立てを行った。その後,レノボは,グローバルに和解が成立したことにより審判機関への不服申立を撤回したが,同審判機関はエリクソンに対する調査の開始を職権で命じていた。

 上記仮処分に関する予備調査において、ブラジル公正取引委員会(CADE)はホールドアップがなかったという判断を既に下していた。つまり,予備調査の段階でエリクソンによるブラジルにおける権利行使はライセンス契約を締結するための対策ではなかったと判断していた。今回,ブラジル公正取引委員会(CADE)が調査を開始することにより,先の意見を覆してエリクソンの行為が独占禁止法に違反していると判断するのではなく,ブラジル公正取引委員会(CADE)が当該事件に関するエリクソンのライセンス活動を継続的に調査する必要があるためであると説明した。
 今回の職権による調査の勧告に当たり,エリクソンがモトローラおよびレノボに対して契約を締結させるために不当かつ不公正な条件を課し,それが価格差別に該当する可能性を検討すべきと述べた。ブラジル公正取引委員会(CADE)の委員は,必須特許の乱用は公共の利益に関わる問題であるとコメントしており,今回のケースは5G電話市場へのアクセスに不可欠な必須特許を保有する,通信インフラ分野で支配的地位にある企業に関するものである。
 ブラジル公正取引委員会(CADE)による職権調査は,理論的には経済秩序の違反を構成する可能性がある要素が存在し,不服申立の撤回が承認されたにもかかわらず,当該事実を調査し続ける必要があるためだとしている。また,別のブラジル公正取引委員会(CADE)委員によると,ブラジル公正取引委員会(CADE)が主導して,特許権の権利行使による仮処分差止請求が支配的地位の乱用に該当する可能性に関する基準を確立するために,さらに調査を行うべきであるともされた。

ホベルト

出典:ブラジル公正取引委員会(CADE)

5月 10, 2025 at 10:14 コメントを残す

特許期間の調整(PTA)に関する最近の判決

 4 月 13 日,第 1 巡回区連邦高等裁判所(TRF-1)の第 5 パネルは,ノボノルディスク・ファーマシューティカル・ブラジルが請求した 2 つの特許の期間延長を否定した。この決定,2021 年にブラジル特許庁(INPI)が遅延した場合の登録期間の延長を否定したブラジル連邦司法最高裁判所(STF)の判決に続き,TRF-1の合議体による初めての判決である[i]。今回の事件では,ノボノルディスクは2つの特許について7年と12年の延長を要求した。問題となった有効成分は,糖尿病と肥満の治療に使用されるOzempicとRybelsusという商品名の医薬品に使用されている。当該訴訟は,ノボノルディスク社の請求が下級審で却下されたため,同社がTRF-1に上訴していたものであった。

 TRF-1での口頭弁論において,ノボノルディスク社は,同社の特許はINPIから大幅に遅れて,有効期限に極めて近い日付で付与され,この付与の遅延によりノボノルディスクはもはや合理的な独占期間を持つことができなくなった,と主張した。この訴訟のアミカスキュリエである研究製薬産業協会(Interfarma)は,ブラジル産業財産権法第40条補項を違憲としたブラジル連邦司法最高裁判所の判決に基づき期間延長の請求をすることはできないと主張した。

 同じくアミカスキュリエであるジェネリック医薬品メーカーのEMSは,期間延長を請求することはブラジル連邦司法最高裁判所の判決を軽視していることになると指摘した。EMSは,対象となっている特許の1つが2024年に失効すること,当該特許が使用されている医薬品が薬局で約1,000レアルで販売されている高額な薬であることを指摘した。また,アミカスキュリエであるブラジル国内資本研究産業会(Grupo Farmabrasil)は,ノボノルディスクが権利以上の期間を求めていると主張した。

 本件を審理した報告裁判官は,ノボノルディスクの特許期間延長請求を却下した。同裁判官は,保護は一定期間与えられるべきであるとしたものの,特許保護がなければ,一般的な医薬品は平均73.4%の価格低下をもたらすことを判決において指摘した。同裁判官は,ブラジル連邦司法最高裁判所の判決を引用し,第三者の遅延によって損害を受けることになるという製造業者の主張は,より手頃な価格で製品を提供するという社会的利益に基づくものであるべきだと述べた。同裁判官は,企業の投資の償還は社会的利益の前では二の次になると考えているようである。

 一方,3月27日,第9巡回区連邦高等裁判所は,ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)社に有利な仮処分命令を出し,358日間の特許期間を延長することを認めた[ii]。当該遅延は,ブラジルの衛生監督局であるANVISAに起因するものとされた。

 本件において,第9巡回区連邦高等裁判所の裁判官は,今回の問題が,ブラジル連邦司法最高裁判所の判決に抵触する特許期間の延長に関するものではないことを明らかにするとともに,今回の事件においては,民事責任の観点から関係者の権利を確保するための最善の方法を検討することに焦点を当てていた。本件では,裁判官は,規制当局が遅延を引き起こした期間のみ特許保護を延長する合理的な基準を,原告が提示していると判断した。したがって,裁判所は,関係する規制機関の提供する情報を考慮しても,原告が示した全期間を必要な保護期間として設定する一方,遅延に対する特許権者の関与は最小限であったことを指摘した。

ホベルト


[i] 訴訟番号:1086937-78.2021.4.01.3400

[ii] 訴訟番号:1005786-56.2022.4.01.3400

5月 8, 2023 at 16:20 コメントを残す

ブラジルにおける悪意の商標出願に関する判決

 ブラジル司法最高裁判所(STJ)は,実業家が他人の商標の無効を起こした後,自己の利益のために登録した行為が悪意であるとして,「Permabond」商標の3 件の登録を全員一致で無効とする判決を下した。ブラジル司法最高裁判所(STJ)によると,ブラジルで使用された「Permabond」商標は,海外で使用されている同商標と混同又は関連付け
られる可能性が高いと判断した。 

 外国企業であるPermabond LLC は,ブラジルの実業家及びその実業家が有する会社(ブラジルではPermabond Adesivos Ltda として登録)を相手取って訴訟を提起していた。下級審は,行政手続において外国商標の著名性が証明されていないことを理由に,原告の請求を棄却した。

 ブラジル司法最高裁判所(STJ)への上訴で,Permabond LLC は,この実業家が同社の従業員であったことから,商標の無効を提起した後,自らの利益のために同じ名称で出願したことは悪意があると主張した。また,Permabond LLC は,元社員による効力がなくなった商標の出願及び登録は,顧客の不正流用と不正競争を特徴づけるものであると主張した。

 ブラジル司法最高裁判所(STJ)は,Permabond LLC が2006 年までブラジルにおける商標登録の保有者であったが,同国内で使用せず,法定期間内に登録延長を請求しなかったため,効力を失ったと指摘した。実業家が商標の存在を事前に知っていたことが認められたため,ブラジル国内で類似の製品を商業的に利用するために利用しようとしたことは,明らかに悪意ある行為に該当する。ブラジル司法最高裁判所(STJ)によると,消費者に混乱を引き起こす可能性のある類似の製品に対する起業家の当該行為は,法律9,279/1996(産業財産法)124 条,項目V 及びXXIII,並びにパリ条約10 条に違反していると判断した。

本件の判例は、原文のポルトガル語でこちるをクリックすることによって確認が可能

ホベルト


4月 9, 2023 at 08:55 コメントを残す

ブラジル特許庁の2023年-2026年における戦略計画書

ブラジル特許庁は3月27日(月)、知的財産国家戦略(ENPI)に沿った、様々なプロジェクトとその目標を含む、2023年から2026年の期間の戦略計画を公表した。戦略計画書は、ブラジル特許庁の決議第10/2023号によって正式に公表された。

計画のメインな戦略目標は、以下の9つとなる:

  1. 産業財産権の付与及び登録における品質とスピードを最適化し、国際的に参考になるパフォーマンス基準を達成すること。
  2. 産業財産権の文化及び戦略的活用を推進し、ブラジルの競争力、イノベーション、発展に貢献すること。
  3. ブラジルが国際的な産業財産権制度の段階に主役になることを強化する。
  4. ブラジル社会ではブラジル特許庁の社会的価値に関する認識と理解を高める。
  5. パフォーマンス及びサービス提供の向上に重点を置いたデジタル変革を深化させる。
  6. サービス提供能力の近代化と拡大のための持続可能な資金を確保する。
  7. 増大する需要に対応し、サービス提供において高いパフォーマンスを維持するために必要な労働力の補充と維持を確保すること。
  8. コストパフォーマンスの高い、効率的で持続可能なロジスティクスとインフラのサポートを提供する。
  9. ガバナンス及びマネジメントの実務及び制度的関係を改善する。

ブラジル特許庁は、上記9つの戦略目標に基づき、特許出願の実体審査(出願日から計算)を現在の6.9年から2年に短縮し(2026年)、商標登録出願の実体審査(出願から1次審査まで計算)を現在の10ヶ月から1ヶ月(2026年)、商標無効の行政手続を現在の42ヶ月から15ヶ月に短縮することを目標としている。

各戦略目標には、詳細なプロジェクトが設定されており、設定されたガイドラインと優先事項の実施を具体化することを目的としている。

ブラジル特許庁は、特許登録の品質と俊敏性を最適化するため、人工知能ツールの利用を含めて、特許審査手続きの一部を自動化する予定である。さらに、大学など他の第三者機関と連携して、第三者による調査も実施する予定である。また、ブラジル特許庁の規範と、Global-PPHを含む優先権付与手続きの基準を更新する予定である。

商標出願に関しては、産業財産法の改正の検討に加え、ブラジル特許庁は、商標の実体審査における調査(オフィシャルサーチ)を廃止し、絶対的拒絶理由のみを職権で審査し、相対的拒絶理由(先行登録)は第三者からの異議申立があった場合にのみ検討することを検討する予定である。異議申立手続きも簡素化される予定である。また、商標の「二次的意味」を認識し、非伝統的な商標を登録するための手続きを実施する予定である。 国際的な課題では、ブラジル特許庁は、ブラジルが世界の知的財産協定や条約に参加することを優先し、工業意匠登録のためのハーグ協定の運用にまず重点を置く予定である。戦略的アジェンダには、メルコスール諸国を中心とした知的財産の地域統合のためのインセンティブや、海外での地理的表示の登録に関するリスボン協定へのブラジルの加盟に向けた研究の準備も含まれている。

本戦略計画書は、原文のポルトガル語でこちるをクリックすることによって確認が可能

ホベルト

4月 4, 2023 at 19:04 コメントを残す

ブラジル特許庁(INPI)審判部の商標の審決集

2021年12月29日、ブラジル特許庁(INPI)は、審判部による商標法の解釈をまとめる目的とした控訴審レベルの審決集を公表しました。

ブラジル特許庁(INPI)によると、選択された審決は、審判部の現在の解釈を確立にしており、できれば審査基準や全体的き手続きの改善に貢献することに当たりにも参照するものと目指しています。

審決集の初版は72ページのものであり、過去20年間にブラジル特許庁(INPI)が決定した商標案件を幅広くカバーしています。審決事項は主に7つのカテゴリーに分類されています。

  • 道徳・公序良俗に関する拒絶理由
  • 商標の識別性
  • 商標の欺瞞性(地理的表示との混同について1件のみ)
  • 商標の出願可能な標章
  • 不使用取消訴訟
  • 手続きに関する事項
  • 所有権の移転

各審決には、(a)出願番号および審決日などの事件の基本情報、(b)審決の要旨、(c)関連商標、(d)審判部が採用した解釈の概要、が記載されています。

各審決の内容は、1件あたり平均1ページにまとめられて、非常に簡潔な記述でまとめられています。これらの審決には拘束力がありませんが、これらの審決は、ブラジル商標制度における問題に関してブラジル特許庁(INPI)の審判部が下す審決の指針となる傾向があります。

通常、ブラジルでは、審判部の審決の全文は公開されておらず、結果のみが公開されています。そのため、この審決集はブラジルでの実務の発展に大いに役立ちます。

この審決集は、原文のポルトガル語でこちるをクリックすることによって確認が可能です

ホベルト

3月 3, 2022 at 16:43 コメントを残す

ブラジル国家知的財産戦略を制定する政令10.886/2021

 2021年12月7日、ブラジル国家知的財産戦略(ポルトガル語で“ENPI”。以下、「ENPI」という)を制定しますための政令第10,886号が公布されました。また、ブラジル国家知的財産戦略を実行する方法として、「創造性、イノベーションへの投資、知識へのアクセスを奨励し、公正な競争関係の向上及び経済・社会の発展を目指す、有効かつバランスのとれた、広く知られ、利用される」国家知的財産制度(SNPI)の実現が目標とされています。ENPI第2条で定められましたガイドラインにおいては、法的確実性、透明性、予測可能性、及び国際条約の尊重が原則として設定されています。
 政令第10,886号は5つの条項から構成されています。それに加え、政令には附属書が付されています。附属書には、ブラジルの現行の知的財産制度における9つの問題点が指摘されています。9つの問題点は、次のとおりです。

  1. 知的財産権の活用不足と活用過多に関連する知的財産制度の利用におけるアンバランス。
  2. イノベーションと創造のエコシステムにおける企業やその他の関係者による知的財産に関する戦略的ビジョンの欠如
  3. 知的財産に精通した専門家の不足。
  4. 知的財産の一部について情報へのアクセスが困難で、登録が複雑であること。
  5. 裁判所における知的財産専門家の不足
  6. 知的財産権の侵害。
  7. 知的財産における政府の短期的かつ非連続的な戦略的活動。
  8. 知的財産に関する国際的な活動へのブラジルの参加規模が小さい。
  9. 知的財産に関する法の近代化が必要。

 ブラジル国家知的財産戦略の第1ステップの期間は10年間とされており、上記の問題点を改善、解決しますために、複数の目標を設定し、目標を達成しますための理念も設定しています。ブラジル国家知的財産戦略は、11の省庁が協力して実行しますものであり、公開した時点から実行されています。

 原文のポルトガル語はこちらをクリックして、確認することが可能です

ホベルト

1月 19, 2022 at 08:20 コメントを残す

ブラジルにおけるPPHの最新な動き

 ブラジル特許庁(INPI)長官と日本特許庁長官は、2021年12月1日から5年間にわたる両庁間のPPH更新のための協力覚書に署名しました。また、2021年12月16日にポルトガル特許庁とブラジル特許庁は、5年間にわたりPPHを実施しますための覚書を締結しました。それによって、2021年12月現在、以下の11カ国との間でPPHが行われています。

 なお、2021年1月1日より、ブラジルにおけるPPHの件数制限等が緩和されました。現在、ブラジル特許庁が実施していますPPHの全てが同じ仕組みの下で行われているため、以下に示す1年間に600件という制限は、日本とのPPHのみに関するものではなくて、上記11カ国との間の全てのPPHに適用される件数制限ですことに注意が必要です。

 2020年12月31日まで2021年12月31日まで2022年1月1日~現在
総申請件数制限 (日本を含めたブラジルとのPPH実施庁からの申請の総数)400件/年 (IPCセクション毎に 100件/年)600件/年 (IPCセクション毎に 150件/年)800件/年 (IPCセクション毎に 150件/年)
一出願人当たりの件数制限1件/月1件/週1件/週
第一国出願の制限 (日本の審査結果に基づく PPH申請の場合)第一国出願が日本または ブラジルの場合に限る第一国出願がブラジルとPPHを実施している国のいずれかであればPPH申請可能第一国出願がブラジルとPPHを実施している国のいずれかであればPPH申請可能

 ブラジルでPPHが開始されました2015年以降、PPHが可能なすべての先行審査庁(OEE)からのPPH申請は1664件でした。PPHを利用して優先的に審査されました件数のうち、84%が付与査定に至り、PPH申請から付与査定までの平均審査期間は289日でした。日本は、PPH申請件数が2番目に多い国であり、279件のPPH申請がありました。最も件数が多いのは米国であり、3番目に多いのは中国です。PPH申請の件数が最も多い出願人はファーウェイです。しかし、その次にPPH申請の件数が多い企業はNTTドコモ(50件)です。その他の日本企業においてPPH申請件数が多いのは、NEC(41件)、JVCケンウッド(13件)、ホンダ(10件)、ミツカン(10件)となっています。

ホベルト

1月 14, 2022 at 08:13 コメントを残す

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