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ブラジル特許庁、存続期間に関する連邦最高裁判所判決の影響を受ける特許に関する最新決定
2021年4月末から5月にわたって、ブラジルの最上級裁判所であり、主に憲法裁判所としての役割を担っている連邦最高裁判所(STF)は、ブラジル特許制度の特徴の一つである特許権存続期間の特例措置が違憲か否かについて審理を行っていました。本件の違憲訴訟の背景についてはこちらの投稿にて説明し、そして、本件の仮処分の判決についてこちらの投稿に説明しましたので、ご関心がありましたら、ご確認ください。また、審理についてはこちらの投稿に説明しましたので、ご確認ください。2021年12月14日、ブラジル特許庁(INPI)は、ブラジル連邦最高裁判所(STF)違憲訴訟第5529号(ADI#5529)において、ブラジル産業財産法第40条補項が違憲であると判定された後に特許権者による存続期間の見直しに関する不服申立についての結果が通知されました。
ブラジル最高裁判所は、多数決でブラジル産業財産法(LPI)第9279/1996号の第40条補項を違憲としました。遡及効に関する決定について、ブラジル最高裁判所は、多数決により、ブラジル産業財産法の第40条補項を違憲とする判決の効力を制限する決定を下し、同規定に基づいて付与された期間延長を維持するために、本審理議事録の公表よって遡及効がない(ex nunc)としました。したがって、第40条補項によって既に付与され、現在も有効である特許の有効性は維持されるが、次のものについては除外されます。(i)違憲の主張が含まれている2021年4月7日(本訴訟の仮処分の一部が認められた日)までに提訴された訴訟に関わる特許、及び(ii)医薬品及びプロセス、メディカルデバイス及びヘルスケアで使用するための材料に関連する特許であって期間延長が認められていたものについては、いずれの場合も遡及効(ex tunc)が働き、ブラジル産業財産法の第40条補項に基づいて認められた期間延長が失われ、法律第9,279/1996号(ブラジル産業財産法)の第40条の部分で設定された特許の有効期間に従い、該当特許の期間延長の結果として既に生じていた具体的な保護の効果は失われます。
2021年5月18日、ブラジル特許庁(INPI)は、遡及適用される範囲となる医薬品および医薬的な方法、および健康目的で使用される機器および/または素材に関する特許権への対応についても明記しました。ブラジル特許庁(INPI)は、違憲訴訟第5529号判決により影響を受ける医薬品および医療機器等に関する特許権を以下の基準に基づき特定し、特許の存続期間を調整するためのオフィスアクション(通知コード16.3)の発行を開始しました。
- 事前承認を得るためにブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)に送られた特許権
- 国際特許分類(IPC)がA61B、A61C、A61D、A61F、A61G、A61H、A61J、A61L、A61M、A61NまたはH05Gである(世界知的所有権機関(WIPO)により医薬品に関連する技術とされている)特許権
- IPC分類がA61K/6、C12Q/1、G01N/33またはG16Hである特許権
- 判決がcode 19.1で公表された特許権
- 追加証明書
ブラジル特許庁(INPI)が2021年6月22日の官報に公表したお知らせでは、存続期間調整のオフィスアクション(通知コード16.3)の影響を受けた特許権者には、当該オフィスアクションに対して不服申立を行う機会が与えられることが明記されました。不服申立が却下された場合は、ブラジル特許法第212条に基づき、行政審判を行うこともできます。
存続期間調整のオフィスアクションに対する不服申立に関しては、以下のような措置を取ることが可能です。
- 不服申立の理由が妥当である場合、存続期間調整のオフィスアクション(通知コード16.3)が取り消される。
- 不服申立において、ヘルスケア等に関する請求事項を削除することで特許権の範囲が狭くなる場合、特許が再公開される。
- 不服申立の理由が妥当ではないと判断された場合、その判断の理由が公開される(通知コード22.2)。
- 追加の情報の要求がある場合、その旨が公開され(通知コード22.5)、60日以内に回答しなければならない。
農薬分野の特許については、ブラジル特許庁(INPI)の法務局から法的見解が出されました。その見解では、特許権者の請求に応じて、違憲訴訟第5529号判決によって下された決定への影響を防ぐためだけでなく一般的にヘルスケア等に該当する事項を削除することはこれまでも可能であり、そうすることによってその他の請求項を判決前の存続期間のままで維持することができるとされました。
なお、ブラジル特許庁(INPI)は、不服申立が出された案件の結果および判断基準をいつ公開するのかまだ決めていません。
ブラジル国家衛生監督局(ANVISA)による事前承認制度の廃止
長い間にブラジル特許制度の特徴的な課題となったブラジル国家衛生監督局(ANVISA)による事前承認制度は改正法により廃止されました。今回の改正法案は、2021年3月に公布された暫定措置令(MP[i])1040/21(MP1040/21)に基づく法案であり、 開業促進などのビジネス環境の改善を主な目的とするものでした。この暫定措置令1040/21には、医薬特許付与の要件として、ブラジル国家衛生監督局(ANVISA)による事前承認制度を規定しているブラジル産業財産法第229-C条の廃止も含まれていました。なお、議会において暫定措置令1040/21の立法化について検討された際に一部修正されたため、転換法案15/2021(PLV 15/2021)となりました。
ブラジル産業財産法第229-C条に規定されているブラジル国家衛生監督局(ANVISA)による事前承認制度とは、ブラジル特許庁(INPI)に出願された医薬品関連の特許出願の場合、ANVISAによる事前承認手続きのためにANVISAに送付され、ANVISAが公衆衛生への影響について審査し、事前承認の審査後、ブラジル特許庁に再び送付される制度であす。事前承認が受けた場合、ブラジル特許庁において特許要件に関する実体審査が行われます。一方、事前承認を受けられなかった場合、ブラジル特許庁は事前承認を受けていないことを理由として出願を拒絶します。当該制度は2001年のブラジル産業財産法の改正により導入され、製薬会社の大きな負担となっていました。
2021年6月23日に下院議会において暫定措置令1040/21が承認され、法案に転換されました。その後、8月4日、上院議会が同法案を可決したものの、法案の一部が改訂されたため、改めて下院議会に送付されました。8月5日、下院議会は、上院議会が提案した改訂案を却下し、8月6日にボルソナロ大統領による裁可のために送付されました。その後、ボルソナル大統領が同法案を裁可し、8月26日に第229-C条の廃止を定めた第57条を含む、法律14.195/21が成立しました。同法律により、医薬品関連の特許出願の際のブラジル国家衛生監督局(ANVISA)による事前承認制度が廃止されることとなりました。

ブラジル特許庁は、8月31日に交付した公報[ii]において、法律14,195/2021による第229-C条の廃止に伴う医薬品関連の特許出願に関する手続きを公表しました。その内容は以下の通りです。
- 2021年8月27日以降、ブラジル特許庁はANVISAに医薬品関連特許出願を転送していない。
- ANVISAから返却された出願については、第229-C条が廃止されたことを示す通知コード7.7が交付され、その後、通常の審査手続きに戻る。
- 第229-C条の廃止前にANVISAによる事前承認の手続きが完了していた出願は、8月23日にブラジル特許庁に転送され、当該出願について従来通りに事前承認(通知コード7.5)または事前承認拒否(通知コード7.7)の通知コードが交付される。
- 2016年12月31日までに行われた出願で、バックログ解消計画に含まれている出願は、通常通りに「Preliminary Office Action」に関する通知コードの6.21または6.22が交付される。
しかしながら、ANVISAにおいて事前承認手続き待ちとなっていた出願の全てがブラジル特許庁において審査が行われようになるまでには少し時間かかるものの、この改正は製薬業界にとって大変ポジティブな情報といえます。日本企業に関しては、ANVISAにおよそ70件程度の出願が残っていたが、近いうちにブラジルの事前承認制度から逃れることができるようになります。
ご質問がありましたら、お気軽にご連絡ください。
[i] 暫定措置令(MP)とは、緊急性のある場合に限り、大統領が独自に発令できるものであり、法律と同様の拘束力を有します。なお、暫定措置令は、大統領による発令後、議会において立法化に関する検討が行われなければならない。
[ii] https://www.gov.br/inpi/pt-br/central-de-conteudo/noticias/inpi-divulga-procedimentos-apos-extincao-da-anuencia-previa-de-patentes-farmaceuticas
ブラジル特許庁は特許要件を規制する特許審査基準第II部を決議第169/2016号を公布。
ブラジル特許庁は特許要件に関する特許出願の審査のための審査基準を実施することになった(総合的な審査基準の第ⅠⅠ部 – “Bloco IⅠ” -)2016年7月26日に決議第169/2016号を2016年7月26日に発効した。

ブラジル特許庁では現在3つの審査基準の特許出願の審査基準を実施している。 2013年4月には、ブラジル特許庁は決議第85/2013号を公表することによって、実用新案出願のための審査基準を制定した。2013年12月には、ブラジル特許庁は決議第124/2013号を公表することによって、特許出願の方式的な要件や出願の書き方についての総合的な審査基準の第Ⅰ部(“Bloco I”)を制定した。また、2015年3月には、ブラジル特許庁は決議第144/2015号を公表することによって、バイオテクノロジー分野の特許出願の審査基準を制定した。
さらに、コンピュータソフトウエア関連発明審査基準も存在する。その審査基準は2012年にパブリックコメントのために公開されたが、実施をする予定はまだ不明である。
決議第169/2016号のポルトガル語版はこちらからダウンロードが可能である。
ソース:INPI
Temer大統領代行に紹介されたブラジル産業財産庁「INPI」の業務改善のテーマ
INPIの業務改善は、ブラジルにおけるイノベーション強化に資するとして、「国家産業連盟」(「CNI」というブラジル国内で経団連に相当する団体)の中の一つの委員会である「イノベーションのためのビジネス動員」(「MEI」)が提案している主要な課題である。このトピックについて、7月8日にブラジリアにて、Temer大統領代行が参加したイベントで議論された。
MEI指導者委員会の会議は、ブラジリアにあるCNIの本部で行われた。CNI会長のRobson Andrade氏による管理の下、CNIが主催したイベントには、ブラジル国内で活動している大手企業150社のリーダーが集まった。

©Agência Brasil
またイベントには、以下の参加者らが出席した:ブラジル開発商工省「MDIC」からFernando Furlan副大臣;科学技術イノベーション・通信省「MCTI」からGilberto Kassab大臣;教育省「MEC」からJose Mendonca Filho大臣; ブラジル国立経済社会開発銀行「BNDES」からMaria Silvia Marques社長;そして、INPIからLuis Pimentel長官等。
イベント中に行われたプレゼンテーションにおいて、ブラジルの化粧品会社ナチュラより参加したPedro Passos氏は、国内にイノベーションを起こすには、INPIの審査期間を減少させる必要性があると訴えた。そのためには、INPIの業務改善を目指し、経済的なリソースを与え、人員を増やし、国内外における協力を高めなければならないと主張した。
イノベーションに関する議論において、CNI会長のRobson Andrade氏は、Temer大統領代行がイノベーションを促進するために必要な施策を支援する約束をした旨を述べ、Robson Andrade氏は、その施策の一例として、INPIの特許審査における時間の短縮を挙げた。
MEIはイノベーションの促進に向けた6点の計画を掲げており、その中の1点目が知的財産に関連するものである。
– イノベーションと産業財産の規制の枠組みの強化。
– イノベーションのための政府の枠組みの強化。
– イノベーションのための資金調達。
– イノベーションによるグローバル化。
– イノベーションのための人材育成。
– イノベーションができる中小企業の促進。
INPI長官は、ブラジル産業財産法20周年を記念したCNIインタビューにて、INPIにおける主な4つの分野の改善について説明した。
(1)過去の採用試験に合格した者の雇用による人員の増加;
(2)知的財産権の出願の審査における最適化と自動化;
(3)インフラの改善とブラジル産業財産法第239条に関わるINPIの経済的自律性を求めることによるガバナンスの改善;
(4)審査品質の向上、審査官の研修、および知財に関する意識向上のための国内および国際的な協力。
ソース:INPI
ブラジル特許審査官の増加
2016年6月9日、ブラジル特許庁(INPI)では70人の特許審査官が就任する。現在、実際に審査をしている審査官は193人しかおらず、今回の就任によって特許審査官の人数が36%の増加となる。就任式には、新しい開発商工省(MDIC)大臣、Marcos Pereira氏が参加する予定である。今回の審査官増加によりバックログ対策としての効果が期待される。
また、今年中に更に30人の特許審査官と40人の商標審査官の辞令が交付されることが期待されている。ブラジルでは、公務員試験に合格した後、官報にて辞令が公表されるが、辞令の公表が行われなければ就任できない。

Marcos Pereira大臣
ブラジルでは、予算の問題があるため、辞令交付まで至るかについて確実な見通しはない。しかし、ブラジル特許庁(INPI)に認められた公務員全体の1820人の中で、実際に在任しているのは、現在924人のみである。MarcosPereira大臣はその点においても問題意識を持っている。
現在、ブラジル特許庁(INPI)のバックログ問題はかなり深刻であり、審査平均時間は10.9年、また審査待ちの件数は21.1万件に至っている。2015年に、ブラジルでは特許出願33043件があった。今年の1月~4月の間、9822件の特許出願が提出された。そのため、バックログ対策の必要性が高い。
ブラジルについてご質問がありましたら、お気軽にご連絡ください。
ブラジル特許庁はバックログ解消のためのタスクフォース
2016年に、ブラジル特許庁が自分のサービスを改善することを目指し、様々な企画をたている。その中では、新長官ピメンテル氏はPCT出願の審査、意匠登録のための実体審査(*1)、および特許と商品に関する審判の判断のためにタスクフォースを組む企画がたてられた。
タスクフォースはブラジル特許庁の従業員58人によって構成され、 2016年1月1日から2016年12月31日の1部に勤務時間の一部をタスクフォースの仕事にわりあてる予定である。

タスクフォースは4つのワークグループに分けられる。第一グループは32人の審査官と9人のテクニシャン(*2)によって構成され、 PCTの国内移行を手掛ける予定である。第2グループは審査官1人、テクニシャン3人とスタッフ6人で様々な手数料の納付を確認し、電子化する予定である。目標は、ブラジル特許庁PCT部門とタスクフォースの努力によって、 2016年のうちに6万5,800件の審決(*3)を下す予定である。
第3グループは審査官1人、テクニシャン1人によって構成され、意匠登録の実体審査に手掛ける予定である。 2015年11月現在、実体審査待ちとして1万3,969件があった。目標は、 2016年において9,581件の審決(*3)を下す予定である。
第4グループは上位専門家1人とテクニシャン4人によって構成され、審判部(CGREC)をサポートする予定である。 2016年において、商標に関する審判3,080件と特許に関する審判22件を解決する予定である。
筆者にとって、それは良いニュースだといえる。経済的に不景気な状態にあるブラジルでは、必要となっている新しい審査官の採用がしばらくできなくなった。そこでは、現在いる審査官の生産性を向上させなければならないが、それは簡単にできるものではない。その意味で、緊急状態対策のような計画が望ましいと筆者が思う。しかし、タスクフォースの仕事は、参加している人の生産性に大きな影響を与えない程度にするのがチャレンジえだろう。しかし、特許の審査もそうであるが、意匠の問題も厳しい状況である。
ソース:INPI
*1 ブラジルでは、意匠登録について無審査主義を採っているが、登録後に経理の有効性を確認するために、実体審査を請求することが可能である。それは、日本で言うと実用新案に関する技術評価書を申請するみたいな制度である。
*2 ブラジルでは、審査官(正式的にブラジルポルトガル語で「pesquisador」という)になるために修士学位以上の習得が要件とされている。テクニシャンは、審査に関する仕事一部ができ、それ以外審査官をサポートするものである。また、ソフトウェアや半導体の登記を使おうものである。テクニシャン(ポルトガル語で「tecnologista」という)になるために大学卒業だけでなれる。上位専門家(ポルトガル語で「especialista sênior」という)は、2006年に作られた役職であり、技術に関する高度な検討を始め、技術的な知識を普及を含めて知的財産に関するプロジェクトを計画することもできるものである。上位専門家になるために、博士学位以上をを有することが要件とされ、 10年以上の経験が必要とされる。
*3 ここで「審決」と言うと、付与査定や拒絶査定のみならず、拒絶理由通知やその他のオフィスアクションも含めている。
ブラジル・米国の2国間の特許協力の展開
2015年11月19日、ブラジル特許庁長官であるピメンテルPimentel氏はUSPTOとの特許審査ハイウェイ(PPH)を正式にするための了解覚書に調印した。その後、2015年11月23日に、USPTO長官であるMichelleK. Lee 氏が了解覚書に調印をした。当了解覚書によって、両国間の特許審査に関する協力のパイロットプロジェクトが確立される。ブラジル政府によると、特許審査ハイウェイ(PPH)のプロジェクトの目標のひとつはブラジルからの特許の国際出願を奨励することである。
2015年7月30日、ブラジル開発商工省(MDIC)大臣Armando Monteiro氏とアメリカ合衆国商務長官であるPenny Pritzker氏がブラジルとアメリカの間の貿易関係を深めるための了解覚書を調印した。その広い貿易関係の了解覚書は表題の特許審査ハイウェイ(PPH)の切っ掛けとなった。

ブラジル特許庁Pimentel長官
2国間の調印以来、ブラジル特許庁で11月16日、17日にかけ両国の代表が協力の実現に向け話し合いがなされた。会議で議論された問題の中で、米国特許商標庁とブラジル特許庁間の技術協力の可能性等に関する話し合いが行われた。それで、11月19日に特許審査ハイウェイ(PPH)のみならず、製品認証および統制・規制に関する了解覚書が合意された。
Pimentel長官によると、当特許審査ハイウェイ(PPH)はとりあえず2年間のパイロットプログラムとして行われるが、その時期に置いてアメリカとブラジルの間に行われている出願が早期に審査することが可能になる。当特許審査ハイウェイ(PPH)は、ブラジルにおいてますます必要とされている技術の促進に照らして、Armando Monteiro大臣とブラジル連邦政府の努力からなったイニシアチブである。
【近年、ブラジルにおいて投資を受けて行われた技術革新から結果が生じ、その結果を保護する興味がますますある】ーPimentel長官
ブラジル・アメリカ特許審査ハイウェイ(PPH)の形式
当特許審査ハイウェイ(PPH)により、両国のいずれかで、特許の付与した者は、その後、パイロット・プロジェクトの対象となる出願についてPPHによる審査を請求することができる。
当特許審査ハイウェイ(PPH)はパイロットとして施行され、試行期間は2年間または各庁150件受理するまでの期間のいずれか先に到達した時である。ブラジル特許庁は、米国から石油・ガス産業に関する出願しか受け付けないことになる。また、ブラジル特許庁は試行開始日から遡って3年以内の出願及び試行開始日以降の出願を対象とする。一方、ブラジル企業は、USPTOに対していかなる技術分野に関する出願についてPPHによる審査を請求することができる。
USPTOまたはブラジル特許庁に出願された同一の最先の出願を有する同一のファミリに属する出願のみが対象となる。それに、出願は公開済みでなければならない。また、USPTOまたはブラジル特許庁がRO(Receiving Office)として受け取ったPCTも対象となる。
当特許審査ハイウェイ(PPH)は、ブラジル法を尊重し、国際条約も定められている審査の独立の原則を維持しながら設立された。この意味で、了解覚書では、各国の特許庁は独立的に出願の最終的な審決(付与もしくは拒絶)を判断することができる。
了解覚書実態は既に公開された(こちらによってアクセス可能)が、ブラジル特許庁のPPHのための規則がまだ未公開であるが、公開したとき常に報告するので、ご期待下さい。
ソース:INPI
ブラジル特許庁は、特許出願の優先審査における新規則を公表
ブラジル特許庁は2015年11月10日付の公報にて決議第151号を公告し、それによって特許出願審査における優先審査に関する新規則を定めた。
新規則が公表されたことにより、優先審査に関する2013年の決議第68号を取り消したが、前決議の多くの条件が新規則に残されている。主な改正は下記の通りである:
・個人発明の出願人で、機能的または精神的障害、もしくは重大疾患を患っている場合、当個人出願人が自分の出願に対して優先審査を請求することが可能;
・先願の特許出願もしくは特許権の内容は第三者による後願出願と同じ内容である場合、当特許出願者もしくは権利者は第三者の後願出願の優先審査を請求することが可能。
一方、SUS(国民健康保険に相当するシステム)に戦略的として認められている健康に使用される製品、製法、装置および/または材料に関するものである場合、保健省はもはや優先審査を請求することができなくなった。
旧規則の決議第68号で定められた下記の可能な優先審査が新規則にも含められている:出願人が60歳以上の個人である場合;出願対象が権限の無い第三者によって侵害されている場合;特許付与が公式な金融機関から財源を得るための条件である場合。さらに、国家緊急事態又は公共の利益に係わる技術の場合、ブラジル政府がその技術に関する特許出願の優先審査を請求することが可能になった。
決議第151号は既に施行されている。Licks Attorneysによる英訳はこちらのリンクにてダウンロードが可能。
ソース:INPI
「アルゼンチン」サポート要件を判断する際、暗黙的に開示された記載が考慮される
アルゼンチン特許庁は、フィリップス社の記録装置の特許出願を審査し、クレームに記載されたパラメーターが実施例に明確にサポートされていないと判断し、同社に対し拒絶査定を通知した。

同社は拒絶査定を覆すために訴訟を提起した。ブエノスアイレス連邦高等裁判所は、訴訟において提出された専門家意見書を参考に、拒絶査定を取り消し、同特許庁に対し特許をすべきことを命令した。意見書の内容として、当業者による明細書の解釈では、問題とされたパラメーターは十分に理解できる範囲と判断され、そのようなパラメーターが暗黙的に記載されたとみなし、サポート要件を満たしているとの内容だった。
当決定は、直接に明細書に記載されていなくても、開示から暗黙的にまたは自明な事項をクレームに含めることを認めた2014 年12 月ファイザー事件判決と同様に考えれば、アルゼンチンにおけるサポート要件は以前より厳しくなくなったといえる。なお、アルゼンチン特許庁は本判決をどのように適用するかについては未だ公表していない。
ソース:AIPPI
ブラジル:インフルエンザ治療薬の特許存続期間が維持される
インフルエンザA型、B型以外に豚インフルエンザの治療薬として用いられているタミフルは、5月26日、第2巡回区連邦控訴裁判所の第2特別小法廷により特許有効期限を維持する判決が下された。
本判決は、以前ブラジル特許庁(INPI)の法務局が提訴した「メールボックス特許*」に関する主張を肯定した第一審の判決に対して行われた控訴による控訴審判決である。
第一審判決に対する控訴が認められた場合、特許存続期間 は2016年から2018年まで延期され、つまりパブリックドメインに帰するときが772日延期されることになった。

この事件では、昨年リオデジャネイロ第13連邦法廷の判決によってINPIの主張を認めたことで特許期限を削減すれた。
ブラジルでは、特許の存続期間を 出願日から計算して20年になっています。しかしながら、ブラジル産業財産法第40条補項では付与後の最低保護期間を10年と定めている。それは出願してから審査期間が10年かかった場合に適用されるものである。
「メールボックス特許」はこの最低限の存続期間に関する特別例によって付与さている。しかし、同法第229条単補項によって、「メールボックス特許」の保護期間は元出願の最初の出願 日から計算して20年間と定められているので、保護期間を訂正するために本件が提訴された。
リオデジャネイロ連邦裁判所以外、サンパウロ連邦裁判所やブラジリア連邦区連邦裁判所でも「メールボックス特許 」に関する保護期間決定訴訟も存在する。「メールボックス特許」の存続期間のための決定は、多くの特許権の存続期間が減少され得るし、掛かる発明はパブリックドメインに帰することになる。
ソース:INPI
*<メールボックス特許> TRIPS 協定第27 条で「特許の対象」は技術分野で差別されないことが規定されているが、TRIPS 協定の発効時に、医薬品及び農業用の化学品の特許による保護を認めていない締約国に対して、これを認める法制度が構築される(つまり、物質特許が認められる)までの経過措置として、少なくとも「出願」については受理することを求めている。この出願を「メールボックス出願」、「ブラックボックス出願」などという。同第27 条を満たす法制度が構築され当該メールボックス出願が特許付与された場合に、その出願日及び優先権の主張が可能とされている。(TRIPS 協定第70 条(8))そのような出願からなる特許権は<メールボックス特許>という。