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ブラジル特許庁はスポーツ品に関する意匠出願の優先審査を設定
今年で行われるリオデジャネイロオリンピックの関係で、ブラジルでは様々なスポーツ品が販売される予定である。それゆえ、スポーツ品の模倣品対策については意匠権が大きな役割を果たす。
ただし、ブラジル特許庁では意匠権の審査のバックログも、特許と同じく、問題である。ブラジルでは意匠権制度は無審査主義を導入しているが、登録後に実体審査を請求することができる。実体審査が行われたか否かという点は特に権利使用するときに考慮される。上記に照らして、ブラジル特許庁は決議第167/2016を制定し、意匠権の早期審査を導入した。早期審査を請求する要件は2つ。 1つ目は意匠出願・登録はスポーツ品に関するもの。 2つ目は出願が2016年6月16日までに行われたこと。早期審査の申請は2016年6月30日までに行わなければならない。
それはブラジル特許庁からの小さな対応とは言えるが、ブラジル特許庁はそもそも問題を意識して対応しようとしているのが良いことだと考えている。
それについてまたご質問がある方はお気軽にご連絡下さい。
ソース:INPI
ブラジル特許庁、オンラインで意匠登録証発行
ブラジル特許庁は、決議INPI/PR 159/2016によって、オンラインサイト上で意匠登録証の発行が可能となった。2016年3月の時点では、2014年から2015年にかけて意匠登録証7,207件の発行が可能となっている。オンライン上での意匠登録証の取り方は下記のようになる:
1) ブラジル特許庁サイトへアクセス(http://www.inpi.gov.br)
2) トップ画面右上の「Acesso Rápido」と書いてる部分に「Faça uma busca」(検索する)をクリック
3) 該当の申請番号を入力
4) 入力後の次ページにて、意匠登録付与による登録証発行が確認できる
5) 「PDF」のアイコンをクリックし、本人認証(captcha)ページが現れる
6) 登録情報に間違いがないか確認した後、意匠登録証の発行準備が整う、ユーザーは登録証をダンロードし保管
7) 発行された意匠登録証の上部、枠内に正式な電子サインが表示されているかを確認
実は、それによってブラジル特許等は大きな問題を解決しようとしている。登録証のための紙をサプライする企業との問題があり、2014年から意匠の登録証がずっと発行されていない。特許の場合、決議PR 13/2013によって2013年3月から原則的に特許証が電子的に発行されており、紙媒体の発行には追加料金がかかる。また、商標の登録証について、決議137/2014によって既に2014年9月から原則として電子的に発行することになっている。
それで、出願から登録証発行までの一連の意匠出願手続きが電子的に行うことが可能。ブラジル特許庁は2015年4月22日より決議146/2015に基づいて電子出願システムを開始し、意匠電子出願を受理するようになった。
また、ブラジル特許庁(INPI)は、電子出願に関する新たな条項を含む、意匠登録出願の要件及び手続を規定する規則第44号を2015年12月1日付で公告した。規則第44号は2013年の規則第33号を無効化するものではあるが、旧規則の多くの要件を維持している。最も重要な改正は以下の通り:
●新規則では、変形例についてであっても、明細書及びクレームの提出が選択的なものとなった。
●新規則では、デザインの客体は、標準的(regular)な実線で表さなければならない。このことは、立体形状に表された装飾模様は、立体形状を破線や点線で表して装飾模様を実線で表現するのではなく、平面的に表現しなければならないことを意味する。
●願書においては「出願分野(Application Field)i」の記載が必須であり、その記載はロカルノ分類に従うのが望ましい。
ブラジルで意匠は、特許および商標と異なり、無審査主義を採っています。従って、意匠電子出願システムの制定によってブラジル特許庁は意匠に関するバックログを本格的に減少させると期待できる。
ソース:INPI
ブラジル特許庁はバックログ解消のためのタスクフォース
2016年に、ブラジル特許庁が自分のサービスを改善することを目指し、様々な企画をたている。その中では、新長官ピメンテル氏はPCT出願の審査、意匠登録のための実体審査(*1)、および特許と商品に関する審判の判断のためにタスクフォースを組む企画がたてられた。
タスクフォースはブラジル特許庁の従業員58人によって構成され、 2016年1月1日から2016年12月31日の1部に勤務時間の一部をタスクフォースの仕事にわりあてる予定である。
タスクフォースは4つのワークグループに分けられる。第一グループは32人の審査官と9人のテクニシャン(*2)によって構成され、 PCTの国内移行を手掛ける予定である。第2グループは審査官1人、テクニシャン3人とスタッフ6人で様々な手数料の納付を確認し、電子化する予定である。目標は、ブラジル特許庁PCT部門とタスクフォースの努力によって、 2016年のうちに6万5,800件の審決(*3)を下す予定である。
第3グループは審査官1人、テクニシャン1人によって構成され、意匠登録の実体審査に手掛ける予定である。 2015年11月現在、実体審査待ちとして1万3,969件があった。目標は、 2016年において9,581件の審決(*3)を下す予定である。
第4グループは上位専門家1人とテクニシャン4人によって構成され、審判部(CGREC)をサポートする予定である。 2016年において、商標に関する審判3,080件と特許に関する審判22件を解決する予定である。
筆者にとって、それは良いニュースだといえる。経済的に不景気な状態にあるブラジルでは、必要となっている新しい審査官の採用がしばらくできなくなった。そこでは、現在いる審査官の生産性を向上させなければならないが、それは簡単にできるものではない。その意味で、緊急状態対策のような計画が望ましいと筆者が思う。しかし、タスクフォースの仕事は、参加している人の生産性に大きな影響を与えない程度にするのがチャレンジえだろう。しかし、特許の審査もそうであるが、意匠の問題も厳しい状況である。
ソース:INPI
*1 ブラジルでは、意匠登録について無審査主義を採っているが、登録後に経理の有効性を確認するために、実体審査を請求することが可能である。それは、日本で言うと実用新案に関する技術評価書を申請するみたいな制度である。
*2 ブラジルでは、審査官(正式的にブラジルポルトガル語で「pesquisador」という)になるために修士学位以上の習得が要件とされている。テクニシャンは、審査に関する仕事一部ができ、それ以外審査官をサポートするものである。また、ソフトウェアや半導体の登記を使おうものである。テクニシャン(ポルトガル語で「tecnologista」という)になるために大学卒業だけでなれる。上位専門家(ポルトガル語で「especialista sênior」という)は、2006年に作られた役職であり、技術に関する高度な検討を始め、技術的な知識を普及を含めて知的財産に関するプロジェクトを計画することもできるものである。上位専門家になるために、博士学位以上をを有することが要件とされ、 10年以上の経験が必要とされる。
*3 ここで「審決」と言うと、付与査定や拒絶査定のみならず、拒絶理由通知やその他のオフィスアクションも含めている。
ブラジル特許庁、意匠登録出願のための新規則を発表
ブラジル特許庁(INPI)は、電子出願に関する新たな条項を含む、意匠登録出願の要件及び手続を規定する規則第44号を12月1日付で公告した。
規則第44号は2013年の規則第33号を無効化するものではあるが、旧規則の多くの要件を維持している。最も重要な改正は以下の通り:
●新規則では、変形例についてであっても、明細書及びクレームの提出が選択的なものとなった。
●新規則では、デザインの客体は、標準的(regular)な実線で表さなければならない。このことは、立体形状に表された装飾模様は、立体形状を破線や点線で表して装飾模様を実線で表現するのではなく、平面的に表現しなければならないことを意味する。
●願書においては「出願分野(Application Field)」の記載が必須であり、その記載はロカルノ分類に従うのが望ましい。
ソース:INPI
ブラジル特許庁は意匠の電子出願を開始する
計画から長い時間が経ったが、ブラジル特許庁(INPI)は2015年4月22日より電子出願システムを開始し、意匠電子出願を受理することが発表された。意匠電子出願制度は決議146/2015に基づいて制定され、当決議は2015年4月7日の公報に公開された。
意匠電子出願はブラジル特許庁の電子化における最新のステップである。ブラジル特許庁は最初2006年に商標のための「e-Marcas」を始め、当商標電子出願制度が2011年に更新された。2011年には、INPIが「e-Patentes」のパイロットを開始したが、その特許のためのシステムの本格的なバージョンは2013年に公開され、実施されてきた。2014年、ブラジル特許庁は特許、実用新案、意匠および商標の調査のツールの更新を行った。
ブラジル特許庁において審査を早くするため、かつバックログ解決方法を目的としてINPIは電子化活動に力を入れているわけである。ブラジル特許庁の電子化プロジェクトによって、出願人は電子に出願することが可能になることのみならず、一部のケースに関する意見書、拒絶通知書、先行技術、異議申立等に電子的にアクセスが可能になった。
ブラジル特許庁のサイトではブラジルにおける電子出願の使用について面白い統計が入っており、現在、およそ74%の出願が電子的に提出されているようである。
ブラジルで意匠は、特許および商標と異なり、無審査主義を採っている。従って、意匠電子出願システムの制定によってブラジル特許庁は意匠に関するバックログを本格的に減少させる見通しである。現在、ブラジル特許庁は意匠の登録を発行するまでに平均6カ月がかかる。当電子出願システムが正常に実施された場合、この時間を大幅に減少させることが可能であろう。
ソース:「e-Trademarkに関する統計」、「e-Patentに関する統計」および「Resolução nº 146/2015」
ブラジル:特許庁が従業員の募集を行う
ブラジル特許庁に関する審査遅延の原因の一つは審査官の人手が足りないことが広く知られている。来年以降において、審査官500人も募集する予定があるのに、その募集がいつ行われるかが予想ができない。
しかし、2014年9月25日にブラジル連邦政府公報において、140人の従業員を募集するための公告が公布された。この度の募集は100人の審査官(葡:PESQUISADOR)と40人の技術者/商標審査官/意匠審査官(葡:TECNOLOGISTA)となる。
審査官の募集に当たって、特に求められている分野は下記の様になる。そこから、現在、ブラジル特許庁のニーズが少しでも理解すことが可能といえる。
・化学工業
・有機高分子化合物
・ガラス、セメント
・その他のマテリアル(材料)
・医薬
・植物分子生物学
・生化学/微生物学
・酵素学
・化粧品関連
・石油化学とその関連の化学プロセス
・地質
・信号処理
・電気工学
・物理的測定
・冶金
・食品業界のための機械
・乗り物関連技術
・農業
・印刷関連
・放送関連
なお、その100人なか、契約登録および集積回路のための審査案も選ばれる可能性がある。40人の「TECNOLOGISTA」から、意匠および地理的表示の審査官も選ばれる様である。
現在、ブラジルではおよそ290人の審査官がいるのに、ブラジル特許庁が理想に考えている人数は800人となる。2013年6月5日の法律が385人の審査官の募集を認めたが、その募集が行われるために、予算の許可を得なければならない状況である。
ご参考のほど、税金が引かれる予想の給料は「PESQUISADOR」のために月毎におよそ33万3千円(R$ 7.421,60)であり、「TECNOLOGISTA」の場合はおよそ30万(R$ 6.693, 54)である。
この度の公務員試験の最終結果は来年で公表される予定なので、雇われてくる審査官のインパクトがおそらく2016年から感じるころができるであろう。
ソース:INPI
ブラジル特許庁が施行中の決議・法令集を発行する
ブラジル特許庁(”INPI”)が同庁に対する手続きをよりも明確かつわかりやすくなるために、3月19日の公報の補足の形に施行中の決議及び法令等をまとめて全て発行された。従来、ほぼ全ての決議・法令がINPIのウエブサイトのどこかにアクセスすることが可能でしたが、いつも探したいものを見つけるのが簡単であったとは限らない状態であった。
また、単なる決議・法令が集まったものが発行されただではなく、従来までの決議及び法令の番号が全て変わった。これから、決議及び法令はよりも分かりやすく検索するために、全ての決議及び法令が2013年において再公開された。従って、現在に全ての決議が決議2013年○○号となっている。例えば、従来、著名商標の獲得に関する決議は決議2005年125号であったが、今は決議2013年23号になった。当該決議・法令集の最初の部分には前の番号と後の番号の対応チャート一覧が載せている。
決議・法令集は813頁がある。決議・法令集は次のリンクを経て、アクセスすることができる。
<http://www.inpi.gov.br/images/stories/downloads/pdf/Normas_Auditoria_Final_15_3_2013_C.pdf>
ソース:INPI
【ブラジル訴訟判例レポート】修理用部品に関する意匠権
概要:「Must Match修理用部品意匠」の意匠権についての権利効力の成否
事件番号:2010.51.01.809326-0(リオ・デ・ジャネイロ連邦裁判所【第一審】)
判決言渡日:2012年05月14日
原告:ORGUS IND/ COM/ LTDA(オルグス有限会社)
被告:FORD MOTOR COMPANY BRASIL LTDA (被告1)、FORD MOTOR COMPANY (被告2)、FORD GLOBAL TECHNOLOGIES (被告3)(以下にフォード社)、ブラジル特許庁(被告4*)
意匠権番号:
バンパ:DI 6202793-0; DI 6404267-7; DI 6602725-0; DI 6700351-6, DI 6703283-4, DI 6705052-3, DI 6705048-4, DI 6800356-0, DI 6800310-2, DI 6800329-3, DI 6800341-2, DI 6805684-2, DI 6805676-1, DI 6901718-2, DI 6901947-9 及び DI 69902722-6
ヘッドライト:DI 6200348-8; DI 6200350-0; DI 6202798-0; DI 7202799-9; DI 6303045-4; DI 6404266-9; DI 6404443-2; DI 6602715-2; DI 6602717-9; DI 6700465-2; DI 6703285-0; DI 6703292-3; DI 6703863-8; DI 6705054-9; DI 6800326-9; DI 6800328-5; DI 6800330-7; DI 6800349-8; DI 6800402-8; DI 6801019-2; DI 6801020-6; DI 6804515-8; DI 6804521-2; DI 6805675-3; DI 6901945-2; DI 6902720-0; DI 6902724-2; DI 6902728-5; DI 7000235-5; DI 7000240-1 及び DI 7000254-1
要約:
皆様のご存知通りに、「Must Match修理用部品」についての制限がないため、日本では新規性、創作非容易性、及びその他の意匠法上の意匠登録の要件を満たしたら、意匠を登録することがでる。そして権利効力についても制限がないので、権利行使もすることができる。一方で、欧州共同体意匠規則や英国により「Must Match修理用部品」に関する意匠についての登録あるいは権利効力の制限がある。
ブラジルでは残業財産権法上でMust Match修理用部品」に関する意匠についての登録制限がないため、登録要件を充足していれば権利化することができる。
当該判決で「Must Match修理用部品」に関する意匠は登録要件を満たすことができるか否かを判断した。
論点を簡単にまとめていたら判断は2重レベルで行い、1つ目のレベルは産業財産権法の解釈についての判断、2つ目は憲法上の自由競争についての判断になった。
産業財産権法の解釈について、以下の意見が取り上げられた。
1)自動車全体という装飾的結合の一部となるMust Match修理用部品が装飾的に自動車から区別できず、第95条が掲げる登録を受けることができる意匠に該当しない;
2)Must Match修理用部品の形態は技術及び機能の見地から不可欠とみなされる形状なので、第100条1項II号により意匠として登録を受けることができない;
憲法上の自由競争についての判断に当たり、以下の論点
1)ブラジル憲法第5条XXIX号により知的財産の保護は「社会的利益並びに国の技術的及び経済的発展を考慮」しなければならない。
2)被告側(フォード社)の意匠は機能性が高いため、意匠権を与えて修理目的の修理用部品の使用を妨げることになる。それで、消費者が修理をするところに選択の幅が不当に制限され、自由な競争関係を害してしまうことになるから、憲法第170条で定めている経済秩序の原則として自由競争(第IV号)と消費者保護(第V号)の原則を違反している。
結果としてフォード社のバンパについて31件とヘッドライトについて16件が無効になった。
しかし、注意して頂きたいところは今回のケース「2010.51.01.809326-0」号は未だ第一審としての判決ですので、GUILHERME BOLLORINI PEREIRA判事の判断は最終的な意見ではなく未だ破棄される可能性がある。このケースについて既に控訴の訴えが提出された。
カラペト・ホベルト
追伸【*もし無効とされたら、この命令を従わないといけないのはブラジル特許庁なので、必要的共同訴訟者となる】