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ブラジルにおける強制実施権の改正に関する法案12/2021(PL 12/2021)/法律14.200/2021

 ブラジル産業財産法には、立法当初からTRIPS協定に基づく強制実施権制度が設けられています。特許法68条ないし74条において強制実施権について規定されており、特許権者が現地生産をしていない場合(68条1項a)及び特許権者が製品を輸入している場合(68条4項)は、第三者に対して並行輸入に関する強制実施権を付与することができます。

 ブラジルでは、2021年1月の新型コロナウイルスのパンデミックによる国家予防接種計画の迅速化を理由とした法案第12/2021(PL 12/2021)が議会に提出されました。同法案は、反ボルソナロ政権が提案した法案であるため、議会と連邦政府の間に敵対心を生むことになりました。一方、同法案はTRIPS協定に違反する可能性がある問題を複数抱えていたため、世界中から注目を集めていました。

 法案12/2021は、2021年7月6日、下院において修正された上で可決され、8月11日には、上院において61対13の賛成多数により可決されました。8月13日、可決された法案がボルソナル大統領の裁可のために転送されました。

 新型コロナウイルスのパンデミック対策が切っ掛けではあったものの、議会で可決された問題のある条文を含む同法案が立法されないようにボルソナル大統領には同法案を拒否する期待がありました。ボルソナロ政権は、同法案を全面的に拒否することを検討していたようではあるが、拒否した場合、議会の一部からの敵意が増える可能性があるため、大統領官房庁は様々な機関と直接に意見交換を行っていました。外務省をはじめ経済省、健康省、科学技術省などのいくつかの省庁が拒否に関する異なる意見を提案しており、拒否すべき事項の優先順位を決めることが課題となりました。特に、外務省は、TRIPS協定に違反する可能性を意識していました。また、ボルソナロ政権は、新型コロナウィルスパンデミック対策に関する強制実施権の議論は、ブラジルにおいてのみ行うべきではなく、他国とともにWTOの場で行うべきだと考えていました。その後、9月2日にボルソナロ大統領が部分拒否付きで法案12/2021を裁可し、法律14.200/2021が成立した。成立した法律14.200/2021には、問題視されていた条文が一部拒否されているものの、依然として問題視されていた一部の条文が残っています。

 最初の問題は、改正後の強制実施権の範囲です。今回の改正において産業財産法第71条の強制実施権の要件が変更されます。現行のブラジル産業財産法第71条では、強制実施権を制定するためには、「emergência nacional(national emergency)」または「interesse público(public interest)」のいずれかに該当しなければならなかった。しかしながら、改正後の規定では、強制実施権を制定するためにもう一つの選択肢として「estado de calamidade pública de âmbito nacional(nationwide state of public calamity)」を導入した。改正法では、「estado de calamidade pública de âmbito nacional」の解釈がポイントになります。同法案では、改正第71条17項として、公衆衛生上の国家的または国際的な緊急事態が発生した場合に、強制実施権は、行政府のみならず、議会の立法によって付与することを可能にしていたが、同規定がボルソナロ大統領によって拒否されました。また、その他の問題視されている条文として、法律14.200/2021によって新たに規定された第71-A条です。同条文によると、人権的な理由によって、医薬品分野の製造能力が低い又は製造能力がない国に輸出するために、輸出のための実施を含める強制実施権が可能になります。

 改正後の強制実施権の仕組みとして緊急事態が制定された日から30日以内に緊急事態の対策に有効な技術について、その理由を付けて強制実施権の対象とする特許のリストを公開しなければなりません。さらに、ブラジル国内のニーズに対応可能なライセンス契約の対象となる特許、およびLOR(ライセンス・オブ・ライト)の対象となる特許も当該リストに含めなければなりません。(改正第71条2項)。当該リストの作成に当たり、ブラジル連邦政府は公益機関、研究機関等に相談すべきとされています(改正第71条3項)。また、民間機関、国家および地方公共団体が当該リストに特許出願および特許権の追加を要求することができます(改正第71条4項)。公開後、ブラジル連邦政府は、30日以内(30日間延長可能)に、リストアップされた特許出願および特許権について評価を行い、ライセンシー候補のブラジルにおける製造に関する技術的および経済的能力の有無、そして、国家緊急事態に対応するための強制実施権の有用性の有無について判断されます(改正第71条6項)。ブラジル連邦政府は、特許権者および出願人が公衆衛生上の緊急事態の必要性に必要な量、価格、時期の条件で国内需要を満たすことを確約した場合、対応する特許および特許出願を上記リストから除外することができます。そのために、改正では(a)国内実施、(b)自発ライセンス、および(c)国内の販売、が認められます(改正第71条7項)。

 上記、改正後第71条2項のリストに関する点として、法案の第3条に、新型コロナウイルスに起因する緊急事態の場合、改正されたブラジル産業財産法第71条で定められた30日間の期限は、改正法が執行された日から開始されると定められていたが、当該規定は拒否されました。したがって、新型コロナウイルスのパンデミックについては、新しい緊急事態宣言が必要となります。

 強制実施権成立後の課題として、強制実施権の対象となる特許権は、強制実施権の報酬額が確定するまで、当該特許に関連するロイヤリティーは製品販売価格の1.5%と定められています(改正第71条13項)。ロイヤリティーは登録された特許についてのみ与えられる。特許出願の強制実施権の場合は、登録後、報酬を請求することになります(改正第71条14項)。しかし、特許出願の場合、強制実施権が制定されると、優先的に審査が行われます(改正第71条15項)。ただ、強制実施権の対象になっていても、国家衛生監督局(ANVISA)による最終的または臨時的な製造販売承認を受けている商品しか販売することができない(改正第71条16項)ため、販売されない商品に対しては必然的にロイヤリティーが生じません。

 改正後の規定では、強制実施権の付与にかかわらず、政府は、特許権者と善意による技術協力契約の締結および販売の交渉を優先すると定められています(改正第71条18項)。その例として、8月26日、ファイザー社とバイオンテック社は、新型コロナウイルスのワクチンのラテンアメリカにおける製造業者として、ブラジルのEurofarma Laboratorios社とライセンス契約を締結した。Eurofarma社は、米国内のファイザー社の施設から医薬品の素材を入手し、2022年から完成品の製造に関わる最終の工程を担当する予定です[i]

 ボルソナロ大統領に拒否された条文の中には、幅広い問題を含むと考えられていた条文が含まれています。それは、特許権者または特許出願人に対して、技術を実施するために複数の情報(営業秘密を含む)の提供を要求することを可能にする規定です(改正第71条8項)。また、同様にバイオ医薬品に関する生体由来材料およびその他の材料の提供を要求することを可能にしています(改正第71条9項)。そして、情報および材料が提供されなかった場合、特許出願が記載要件に基づいて拒絶されることになり、登録特許の場合は、記載要件違反としてブラジル特許庁の職権による無効審判の対象となります(改正第71条10項)。大統領が拒否権を行使する際に発行する意見書によると、ノウハウは企業が独占的に占有するものであるため、その公開を求める規定は公共の利益に反すると判断したとされていました。さらに、すべての特許出願は、当業者が特許を実施できるように十分な情報が記載されていなければなりません。また、この規定は、情報の範囲が広いため、特許制度に混乱をもたらす可能性があると指摘されていました[ii]

 一方、拒否されなかったが問題を含んでいる規定として改正第71条11項があります。改正第71条11項によると、強制実施権の対象となる特許権および特許出願の主題に関連する情報、データ、書類を有する公的機関は、特許権および特許出願の実施に有用なすべてのものを共有する義務があると定めています。そのような情報に関しては、通常、第195条XIV項が適用されるが、改正第71条11項が第195条XIV項およびその他のデータ保護に関する規定の例外であると明記されています。第195条XIV項では、試験結果又はその他の非開示データであって、その推敲に相当な努力を要し、かつ、製品の商業化についての許可を取得するための条件として政府機関に提出されたものを、許可を得ることなく漏えいし、利用し又は使用すること、を不正競争行為とみなしています。現時点では、改正第71条11項の範囲は国内機関に限られ、基本的にはANVISAが管理している情報を想定しています。

 ボルソナロ大統領は、改正第71条8項、9項、10項、17項を拒否し、法案第3条も拒否したが、これに関する議論はまだ終わっていません。大統領の拒否については、議会が当該拒否について確認しなければなりません。憲法第66条4項によると、30日内に議会が拒否を確認する際、当該拒否を覆すためには議員の絶対過半数の賛成が必要となります[iii]

 そして、法律14.200/2021に関する大統領による拒否の議会による確認後、法律によって改正された条文の規則も必要となります。現在、改正前の第71条による強制実施権に関する規則は1999年に成功さった法令3.201によって定められています。そのため、当該改正を施行するためには。法令3.201の改正も併せて行うか、または、新しい規則を立法する必要があります。

ホベルト


[i] https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-and-biontech-announce-collaboration-brazils

[ii] https://presrepublica.jusbrasil.com.br/legislacao/1274849917/mensagem-432-21

[iii] すなわち、議員定数は594人のため298人の議員が拒否を覆す意見に賛成しなければなりません。

9月 20, 2021 at 16:16 コメントを残す

ブラジルの特許権存続期間の特例措置の違憲訴訟・判決とその効果について

2021年4月末から5月にわたって、ブラジルの最上級裁判所であり、主に憲法裁判所としての役割を担っている連邦最高裁判所(STF)は、ブラジル特許制度の特徴の一つである特許権存続期間の特例措置が違憲か否かについて審理を行っていました。本件の違憲訴訟の背景についてはこちらの投稿にて説明し、そして、本件の仮処分の判決についてこちらの投稿に説明しましたので、ご関心がありましたら、ご確認ください。また、審理についてはこちらの投稿に説明しましたので、ご確認ください。違憲に関する決定および遡及効に関する最終決定は、5月14日に公報に以下のように公開[i]しました。9月2日に判決の全文が公開しましたが、439頁もありますので、全文についての詳細な解説は別の機会で分析したいと思いますが、本稿では判決の効果について説明します。

 ブラジル最高裁判所は、多数決でブラジル産業財産法(LPI)第9279/1996号の第40条補項を違憲としました。 遡及効に関する決定について、ブラジル最高裁判所は、多数決により、ブラジル産業財産法(LPI)の第40条補項を違憲とする判決の効力を制限する決定を下し、同規定に基づいて付与された期間延長を維持するために、本審理議事録の公表よって遡及効がない(ex nunc)としました。したがって、第40条補項によって既に付与され、現在も有効である特許の有効性は維持されるが、次のものについては除外されます。(i)違憲の主張が含まれている2021年4月7日(本訴訟の仮処分の一部が認められた日)までに提訴された訴訟に関わる特許、及び(ii)医薬品及びプロセス、メディカルデバイス及びヘルスケアで使用するための材料に関連する特許であって期間延長が認められていたものについては、いずれの場合も遡及効(ex tunc)が働き、ブラジル産業財産法(LPI)の第40条補項に基づいて認められた期間延長が失われ、法律第9,279/1996号(ブラジル産業財産法(LPI))の第40条の部分で設定された特許の有効期間に従い、該当特許の期間延長の結果として既に生じていた具体的な保護の効果は失われます。

よって、ブラジル産業財産権法第40条補項が憲法違反になりました。ブラジルでは、意見訴訟の仕組みのことで、判決後の改正が必要ではありませんので、最終決定は公表してから特許権の存続期間を最低10年保証(実用新案権は7年)の特例がなくなりました。つまり、5月13日以降に登録となる特許は出願日から20年の存続期間になります。また、例外として、違憲判断が遡及適用される範囲は(i) 技術分野を問わず、仮処分の日である2021年4月7日までに提起された無効訴訟で、産業財産権法第40条補項の違憲性が争われている特許、または(ii)「医薬品、製法、ならびに健康目的で使用される装置および/または材料」に関する特許、に該当する登録特許になります。

ブラジル特許庁(INPI)の2021年5月18日では、遡及適用される範囲となる医薬品および医薬的な方法、および健康目的で使用される機器および/または素材に関する特許権(以下、「医薬品および医療機器等に関する特許権」と略記)への対応についても明記されました。医薬品および医療機器等に関する特許権は、以下の基準に基づき特定されます。対象の特許権は、官報への掲載および存続期間が変更された特許証の再発行により通知されます。

  • 1. 事前承認を得るためにブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)に送られた特許権
  • 2. 国際特許分類(IPC)が A61B, A61C, A61D, A61F, A61G, A61H, A61J, A61L, A61M, A61Nまたは H05Gである(世界知的所有権機関 (WIPO)により医薬品に関連する技術とされている)特許権
  • 3. IPC分類が A61K/6, C12Q/1, G01N/33またはG16Hである特許権
  • 4. 判決が code 19.1 で公表された特許権
  • 5. 追加証明書

上記の基準に該当した場合に、特許存続の修正に関する通知(通知コード16.3)が出されますが、その通知が公表されてから60日以内にブラジル特許庁(INPI)に対して上記の基準の該当性を争うために不服申立を提供することができます。不服申立が認められた場合、存続期間は元の期間、すなわち特許付与日から10年に再変更されます。不服申立が認められなかった場合、存続期間の短縮は維持され、不服申立の却下は官報で通知されます。不服申立の却下に対しては、審判が可能です。

ブラジル特許庁(INPI)が既に5回に遡及適用の対象となる医薬品および医療機器等に関する特許権のリストを公表しました。つまり、以下の5回にブラジル特許庁(INPI)は違憲訴訟の影響を受け、存続期間が短縮された登録特許のリストが公表されました。

  • 2021年5月18日の公報第2628号に、ブラジル産業財産法第229-C条による事前承認を受けた3,341件の医薬品関連特許。
  • •2021年6月1日の公報第2630号に、世界知的所有権機関(WIPO)の基準によると、医薬品に関する技術に該当する2,114件の登録特許。
  • 2021年6月22日の公報第2633号に、国際特許分類(IPC)のA61K/6、C12Q/1、G01N/33、及びG16Hのいずれかに分類された97件の特許。
  • 2021年7月6日の公報第2635号に、複数の根拠に該当する496件の特許。
  • 2021年8月10日の公報第2640号に、追加証明書(ブラジル独特の制度であり、進歩性を欠く場合であっても、発明の内容に加えた改良又は進展を保護するための出願形式のこと)の5件。

ブラジル特許庁(INPI)がまたさらに件数を出す可能性がありますので、モニタリングが必要になります。

また、複数の権利者がブラジル特許庁(INPI)に対して訴訟を提訴しています。そのような主張では、ブラジル特許庁(INPI)による審査が遅かったことで、存続期間の修正を請求しています。特に、ANVISA(衛生監督局)による事前承認の対象となった案件の場合は、ブラジル特許庁(INPI)とANVISAの間で、手続きの不安定があったために、事前承認の対象とならない特許の審査期間に比べて、存続期間の修正を求める訴訟が増えています。このような動きについてもモニタリングが必要になります。

以上、そもそも、世界中に特許法の規定が違憲であるか否か訴訟が珍しい上に、判決はブラジル特許制度に大きく影響を与えてきました。その響きはまだ続くと考えられますが、妥当な存続期間に関する議論については有益な論点を持ち上げた案件といえます。

ホベルト


[i]Licks事務所による英訳はこちらをクリックすることによって確認可能です。

9月 10, 2021 at 16:05 コメントを残す

ブラジルの特許権存続期間の特例措置の違憲訴訟・仮処分の判決について

現在、2021年4月時点で、連邦最高裁判所 (STF)は、ブラジル特許制度の特徴となる特許権存続期間の特例措置が違憲か否かについて判断しているところです。本件の違憲訴訟は2016年にブラジル共和国検事総長によって提訴されたものであり、本件の違憲訴訟の背景については前の投稿にて説明しましたので、ご関心がありましたら、ご確認ください。

本件の争点は、ブラジル産業財産法の存続期間の特例措置が第 40 条補項は違憲か否かということです。第 40 条補項によると、特許付与までに 審査が10 年を超えた場合には、特許権存続期間の満了日が付与日より10年後までに自動的に延長されるとしています。具体的には、特許出願日から 20 年間、あるいは、特許発行日から 10 年間のいずれか長い方まで特許権が存続することになります。

第 40 条補項の違憲訴訟が4月7日に審理される予定でしたが、現在、審理は4月14日に延長された状態になりました。しかし、4月7日に違憲訴訟の報告担当の裁判官(Dias Toffoli判事)が第 40 条補項の違憲審査について自分の違憲を公表したとともに、2021年2月24日にブラジル共和国検事総長が請求した仮処分について判断しました。仮処分の請求を受付する根拠としたはコロナ過の問題として指摘されました。それは、もし仮に違憲が認められた場合、その時点で特許存続期間が満了されることとなる医薬特許が存在するので、仮処分の検討が必要との見解です。 実は、仮処分の判決文において、日本の製薬会社である富士フイルムホールディングス傘下の富山化学工業が製造する「ファビピラビル」が一例として取り上げられました。本件は、もともと審理開始は2021年5月26日に予定されていましたが、既に仮処分の請求が出され、今回の違憲審査の影響をコロナ問題に直接に与える可能性が高いため、審理が2021年4月に前倒しされることとなりました。 

仮処分の判決と共に Dias Toffoli判事は報告担当としての意見を公表しました。それによって、86頁までにも及ぼす判決文(ポルトガル語の原文はこちらにてダウンロード可能)には、 Dias Toffoli判事が存続期間の特例措置が第 40 条補項は違憲である見解を説明しました

Dias Toffoli判事の意見ではブラジル特許庁の審査遅延と特別期間を定めている第40条補項には関係があるという見解を示しました。Dias Toffoli判事によると、特許の保護の憲法上の根拠となる憲法第5条(XXIX)には、特許の保護は「社会的な利益および国の技術的・経済的発展を考慮して」、「産業上の発明を、完成した発明者にその利用のための一時的な特権を保障しなければ」なりません。これを踏まえると、憲法上では「社会的な利益」も「国の技術的・経済的発展」も検討しなければならないため、特許権は完全に私的な財産物として認めるべきではないとされました。

それに照らして、Dias Toffoli判事にとって第40条補項制度は存続期間の特別起算方法ではなくて、存続期間延長の制度として解釈すべきのことです。また、第40条補項に基づいて起算された存続期間は付与査定日まで存続期間の満了日を理解することができませんので、 第40条補項はブラジルの特許制度に不安定を与えると解釈されました。不安定な存続期間延長ですので、 第40条補項制度 は、法的安全性に反して、過剰な期間の独占権を与えるものです。それによって、憲法上で保護されている「行政の効率性の原則」(憲法第37条)、「経済秩序の原則」(第170条)、「健康に対する基本的権利」(第196条)が違反されているという見解です。よって、 第40条補項制度による存続期間は、医薬品へのアクセスに関して、国際的なシナリオと比較してブラジルにとって大きな不利益が生じているとされました。

国際的なシナリオの点では、比較法の検討について報告担当の裁判官がサンパウロ大学がリードする「Grupo Direito e Pobreza」(直訳すると「法と貧困問題グループ」)という学者のグループが提出した意見書に大きく影響を受けているといえます。このグループがアミカス・キュリエには、比較法の調査としてPatent Term Extension制度、Patent Term Adjustment制度、およびSupplementary Protection Certificates制度と第40条補項を比較しました。その調査結果により、自動的に適用されるのは第40条補項の大きな問題というのが報告担当の裁判官の意見です。

現行の産業財産法の立法過程を分析したところ、最初の法案には第40条補項が含められていなかったという指摘があり、後に条文が追加されたにも関わらず、追加された内容が十分に議論されていなかったという経緯がありました。報告担当の裁判官によると、第40条補項の追加は、立法当時審査遅延があったという主張がされたにも関わらず、ブラジル特許庁の審査遅延と旧法で保護されていなかった医薬発明は、保護対象に含まれたていたとのことです。すなわち、ブラジルがTRIPS協定によって可能とされた発展途上国に融通される権利を利用しなかったことが、現在のブラジル特許庁の審査遅延の理由という指摘です。

また、どうやら、報告担当の裁判官の感覚では、第40条補項制度があることで、出願人が意図的に審査を遅らせることが可能になるという判断が判決に含められています。つまり、「a pending application is better than no patent at all」という戦略が、一般的に全世界の出願人の戦略であるという考えです。

Dias Toffoli判事にとって、ブラジル産業財産法第44条の関係で、損害賠償の請求権が日数を遡ることになるため、特許が付与される前にも市場に影響を与えています。一方で、救済となる第44条と第210条により、審査遅延があった場合でも出願人・権利者には不利がないという意見と共に、 第40条補項の必要性がないとという意見が挙げられました。

その理論に基づいて、第 40 条補項が違憲であるという意見を明確にした上で、仮処分として医薬・製薬・メディカルデバイスに関する特許について最終判決が下されるまでに第 40 条補項が適用されないと命じました。そして、最終判決として、Dias Toffoli判事は、第 40 条補項の違憲を認める上で(イ)現在、違憲の主張が含めている訴訟中の特許の全件、および(ロ)医薬・製薬・メディカルデバイスに関する特許の全件について違憲の遡及効を、連邦最高裁判所(STF)に提案しました。

それに、2021年4月8日、Dias Toffoli判事が前日に出した仮処分の判決について追加の説明を公報(ポルトガル語の原文はこちらにてダウンロード可能)に公表しました。特に、仮処分の判決の下で第40条補項の拘束力が無効にされた範囲は、医薬・製薬・メディカルデバイスに関する特許出願のみということです。つまり、2021年4月8日以降、少なくとも違憲訴訟の判決が下されるまでに、審査が10年以上かかったとしても、医薬・製薬・メディカルデバイスに関する分野の特許出願であれば、第40条補項に基づく存続期間(つまり、付与日から10年間)を与えることは不可能です。改めて、報告担当の裁判官の提案は少なくとも医薬・製薬・メディカルデバイスに関する特許の全件について違憲の遡及効となるため、全件の存続期間を修正することを提案しました。

連邦最高裁判所(STF)の他の判事の意見を読み取れることが極めて困難ですので、最終判決に関する予想を付くことが難しいです。しかし、新しい情報があり次第、引き続き投稿します。ご質問がありましたら、お気軽にご連絡ください。

ホベルト

4月 14, 2021 at 06:27 2件のコメント

ブラジルの特許権存続期間の特例措置の違憲訴訟・背景について

現在、2021年4月時点で、ブラジルの最上級裁判所であり、主に憲法裁判所としての役割を担っている連邦最高裁判所 (STF)は、ブラジル特許制度の特徴となる特許権存続期間の特例措置が違憲か否かについて判断しているところです。本稿では、その違憲訴訟の背景を説明いたします。

ブラジルでは、特許権の存続期間は原則として出願日から20年、実用新案の存続期間は出願日から15年とされています(ブラジル産業財産権法第40条)。存続期間の延長は原則として不可能ですが、ブラジル産業財産権法第40条補項には存続期間の特別措置が設けられています。それは、特許の場合は登録後最低10年間、実用新案の場合は登録後最低7年間の権利期間が保障される規定です。したがって、特許の出願から登録までに10年以上かかった場合には、出願日から20年を超えて権利が存続することがあり、また、実用新案の出願から登録までに8年以上かかった場合には、出願日から15年を超えて権利が存続することがあります。

ブラジルでは、特許および実用新案の審査遅延は昔から問題となっています。その理由の一つは、ブラジル特許庁が独立的な財政を有しておらず、審査期間の短縮を含む審査レベルの向上に当たっては、ブラジルの議会にて定められた予算しか使えないからです。また、ブラジル特許庁の公務員雇用規則では、特許審査官になるために当該技術分野の修士課程以上の学位取得が要件となっているので、いくら予算があっても、人気の技術分野では審査官を雇うことが難しいということも理由の一つです。その関係で、現行のブラジル産業財産法が立法された1996年から、審査遅延の懸念に伴い、ブラジル産業財産権法第40条補項に対する特別措置が設けられました。

審査遅延の懸念があったとはいえ、立法された時点ではブラジル産業財産権法第40条補項の特別措置は実質的に例外規定となり、基本的にその規定に基づいて登録される案件はないだろうと予想されていました。しかし、2000年代にブラジル特許庁が直面した様々な問題により、審査遅延の問題がより酷くなり、現在、存続期間中の特許登録の46%が特別措置に基づいて付与された状況になっています。審査遅延が著しく酷かった2014年から2016年には、特許登録のおよそ7割が特別措置に基づいて登録されました。 第40条補項の特別措置が原則のように適用されることになりましたら、問題として取り上げられるようになりました。特に医薬・製薬の分野では、多くの人にこれは大問題としてとられました。

具体例として、2013年11月04日、ブラジルの ファインケミカル・バイオテクノロジー産業協会(Abifina)は、特別措置が違憲であることを主張するための違憲訴訟 (訴訟番号:ADI 5061)を連邦最高裁判所 (STF)に対して提訴しましたが、最終的に、原告適格がないことが理由で違憲訴訟が却下されました。原告適格の問題を解消するために、ブラジル共和国検事総長は2016年に、再度連邦最高裁判所(STF)にブラジル産業財産法の特別措置が違憲である旨を認めるための違憲訴訟(訴訟番号:ADI 5529)を提訴しました。

ブラジルの現行の憲法は、1988年に制定されました。114の項目から構成されており、複数の規則が細かく定められています。また、法律で定める厳密な規定と、抽象的な原則によって認められる解釈規定があります。この解釈の仕方はブラジル独特の法制度であり、広い解釈が認められるのは、ブラジルにおいては一般的なこととなります。ブラジル産業財産権法第40条補項の特別措置が違憲であると主張するに当たり、特別措置は、4つの憲法上の保護を受ける原則に違反すると主張されています。

  • 特別措置に基づく存続期間が制度上認められるのかという問題、特許が付与されるまで最長の存続期間を知ることができないので、特別措置の存在が憲法第5条で保障されている法的安定性に違反しているということ。
  • 特別措置に基づく存続期間を認められた特許が、通常の特許より長く保護されているので、延長された存続期間によって、憲法第170条IV項で保障されている自由競争の原則に違反していること。・特別措置では、案件ごとの登録存続期間が異なる可能性があるので、憲法第5条I項で保障されている法の下の平等の原則に違反していること。
  • 特別措置が、ブラジル特許庁が効率的に審査業務を行わなくても済むことになるので、憲法第37条で保障されている公役の効率性の原則に違反していること。

本件の議題については、必然的にデリケートなトピックとなり、それに関する複数の意見(訴訟内においてアミカス・キュリエとしても)が挙げられています。また、本件は、ブラジル産業財産法に関する違憲訴訟が連邦最高裁判所(STF)で裁定されるのは初めてのことなので、かなり注目が集められています。連邦最高裁判所(STF)に適用されるブラジルの手続法によると、判決により以下のように2つの異なる結果がもたらされることになります。

  • i) 連邦最高裁判所(STF)の過半数が10年の特許権の存続期間の合憲性を認めた場合、この条文が維持される。
  • ii) 連邦最高裁判所(STF)の過半数が10年の特許権の存続期間が違憲であることを決定した場合、本規定は違憲と宣言される。

違憲訴訟の判決の効力は、原則として全てのの訴訟事件および行政事件(特許出願の審査を含めて)に影響を与えるため、連邦最高裁判所(STF)は、必要に応じて拘束力の調整をすることができます(違憲訴訟に関する法、法律9868/99第27条)。例えば、この規定が違憲と判断された場合、その拘束力は判決が公表された後に生じることとなり、原則通りであれば現在この規定によって特別措置が適用されている特許登録はすべて無効とされることになります。ただし、判決の拘束力が調整されることによって、判決公表前に特別規定が適用された権利については権利自体が無効とされることなく、原則的な存続期間(特許の場合は出願日から20年)に短縮されたり、あるいは引続き10年間の存続期間が保障されることもあり得ます。

ブラジル特許庁および政府は、2016年から様々なバックログ解消対策(PPHを含めて)を実施しているので、ブラジル産業財産法の特別措置が懸念事項となり、当該違憲訴訟への影響を与える可能性はさほど大きくないと主張しています。その理由としては、ブラジル特許庁および政府が、現行の主なバックログ解消対策のプログラムである予備審査(Preliminary Office Action)を通して、「2021年6月までにバックログの8割を解消する」ことを目指しているからです。

個人的には、ブラジル特許庁がバックログ解消に努めているのは間違い無いと感じていますが、「2021年6月までにバックログの8割を解消する」という目標が達成できるとは限らず、それだけで全ての審査遅延の問題が解決されるとは思いません。ブラジル特許庁が安定的且つ効率的な実務ができるようになるまで、ブラジル 産業財産法の特別措置は、健全な特許制度を確立するために必要な措置と言えるでしょう。

本件の審理は4月中に終わる予定ですので、ブラジルにおける特許制度について近年の最も影響力のある判決ですので、注目せざるを得ないものといえます。

ホベルト

4月 12, 2021 at 19:50 3件のコメント

ブラジル特許庁は特許要件を規制する特許審査基準第II部を決議第169/2016号を公布。

ブラジル特許庁は特許要件に関する特許出願の審査のための審査基準を実施することになった(総合的な審査基準の第ⅠⅠ部 – “Bloco IⅠ” -)2016年7月26日に決議第169/2016号を2016年7月26日に発効した。

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ブラジル特許庁では現在3つの審査基準の特許出願の審査基準を実施している。 2013年4月には、ブラジル特許庁は決議第85/2013号を公表することによって、実用新案出願のための審査基準を制定した。2013年12月には、ブラジル特許庁は決議第124/2013号を公表することによって、特許出願の方式的な要件や出願の書き方についての総合的な審査基準の第Ⅰ部(“Bloco I”)を制定した。また、2015年3月には、ブラジル特許庁は決議第144/2015号を公表することによって、バイオテクノロジー分野の特許出願の審査基準を制定した。

さらに、コンピュータソフトウエア関連発明審査基準も存在する。その審査基準は2012年にパブリックコメントのために公開されたが、実施をする予定はまだ不明である。

決議第169/2016号のポルトガル語版はこちらからダウンロードが可能である。

ホベルト

ソース:INPI

7月 27, 2016 at 16:06 コメントを残す

弾劾手続きと知的財産

今日は発明の日である。そのため、このトピックについて執筆しようと思った。現在、ブラジルでは大統領の弾劾が議論されている。でも、それは知財とどのような関係があるのであろう。

ただいま、ブラジルの下院の代議院(Câmara dos Deputados)にて、議員342人以上の投票により、弾劾裁判が起訴されることになった。この開始は、私の日本法の理解では、検察官が捜査を終わった後で、起訴する決定ににたような感じだと思う。そこで、弾劾裁判が上院の元老院(Senado)に上がる。上院では、最初、特別委員会によって、受理されるか否かの判断が行われる。受理されることになったら、大統領が一時的に解任され、弾劾裁判が行われる。

impeachment

現政権、労働者党の政権は2003年からブラジルを指導している。最初はルラ政権、そして、その次にルーセフ政権。全部で13年、長い時期。13年間の知的財産に関する活動が判断し難いであるが、知的財産に悪い環境のイメージであろうが、この場合には間違いなく浮き沈みがあった。

ルラ政権における特許の環境は暗いといえる。2007年、エファヴィレンツの強制実施権の設定があった。現行法において、ブラジルのただひとつの強制実施権であった。そして、ルーセフ大統領が2012年に、実施権を延長した。また、ブラジル特許庁(INPI)への予算はかなり制限された。それ以外、多数の小さなアンチパテント的なこともあった(たとえば、ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)の知財部をなくしたこと)。

一方、ルラ政権では、ブラジルにおける著作権の実務はかなり上達した。必要な改正が成り立たなかったが、著作権の意識を高めるところと、著作権の保護のポリシーには改善が間違いなくみられた。ソフトウェアのパイラシーの対策も改善してきた。

ルーセフ政権には、産業財産権の環境はかなり成功してきたと思う。ルラ政権で始めた工業活動がやっと知的財産の意識をでき、ルーセフ政権ではイノベーションが重要に思われた。

確かに、ブラジル特許庁(INPI)への必要な予算は出さなかったが、ブラジル特許庁にはある程度の自由をさせた結果、現在、ペーパーレス化がほとんど完成で、ブラジル特許庁は自分で自分のためにいろいろ改善ができた。また、2015年にWIPOがブラジルでオフィスを作った。また、アメリカとのPPHもできた。特に、最近、少しずつ上達しつつある感覚。

最終的に、弾劾の結果を問わずに、これからも、少しずつの進化をし続けていくと考えられる。したがって、ブラジルを長期的に考えて、まだ諦めるところではないと筆者の思いである。発明の日では、ブラジルは少し不安な状況にあるが、ブラジルにおい発明が大事にされている環境になってきている。益々になってきており、今の不安定が、それに影響を及ぼさない。

ホベルト

4月 18, 2016 at 14:25 コメントを残す

ブラジル特許庁はバックログ解消のためのタスクフォース

2016年に、ブラジル特許庁が自分のサービスを改善することを目指し、様々な企画をたている。その中では、新長官ピメンテル氏はPCT出願の審査、意匠登録のための実体審査(*1)、および特許と商品に関する審判の判断のためにタスクフォースを組む企画がたてられた。

タスクフォースはブラジル特許庁の従業員58人によって構成され、 2016年1月1日から2016年12月31日の1部に勤務時間の一部をタスクフォースの仕事にわりあてる予定である。

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タスクフォースは4つのワークグループに分けられる。第一グループは32人の審査官と9人のテクニシャン(*2)によって構成され、 PCTの国内移行を手掛ける予定である。第2グループは審査官1人、テクニシャン3人とスタッフ6人で様々な手数料の納付を確認し、電子化する予定である。目標は、ブラジル特許庁PCT部門とタスクフォースの努力によって、 2016年のうちに6万5,800件の審決(*3)を下す予定である。

第3グループは審査官1人、テクニシャン1人によって構成され、意匠登録の実体審査に手掛ける予定である。 2015年11月現在、実体審査待ちとして1万3,969件があった。目標は、 2016年において9,581件の審決(*3)を下す予定である。

第4グループは上位専門家1人とテクニシャン4人によって構成され、審判部(CGREC)をサポートする予定である。 2016年において、商標に関する審判3,080件と特許に関する審判22件を解決する予定である。

筆者にとって、それは良いニュースだといえる。経済的に不景気な状態にあるブラジルでは、必要となっている新しい審査官の採用がしばらくできなくなった。そこでは、現在いる審査官の生産性を向上させなければならないが、それは簡単にできるものではない。その意味で、緊急状態対策のような計画が望ましいと筆者が思う。しかし、タスクフォースの仕事は、参加している人の生産性に大きな影響を与えない程度にするのがチャレンジえだろう。しかし、特許の審査もそうであるが、意匠の問題も厳しい状況である。

ホベルト

ソース:INPI

*1 ブラジルでは、意匠登録について無審査主義を採っているが、登録後に経理の有効性を確認するために、実体審査を請求することが可能である。それは、日本で言うと実用新案に関する技術評価書を申請するみたいな制度である。

*2 ブラジルでは、審査官(正式的にブラジルポルトガル語で「pesquisador」という)になるために修士学位以上の習得が要件とされている。テクニシャンは、審査に関する仕事一部ができ、それ以外審査官をサポートするものである。また、ソフトウェアや半導体の登記を使おうものである。テクニシャン(ポルトガル語で「tecnologista」という)になるために大学卒業だけでなれる。上位専門家(ポルトガル語で「especialista sênior」という)は、2006年に作られた役職であり、技術に関する高度な検討を始め、技術的な知識を普及を含めて知的財産に関するプロジェクトを計画することもできるものである。上位専門家になるために、博士学位以上をを有することが要件とされ、 10年以上の経験が必要とされる。

*3 ここで「審決」と言うと、付与査定や拒絶査定のみならず、拒絶理由通知やその他のオフィスアクションも含めている。

 

12月 24, 2015 at 06:23 コメントを残す

ブラジル特許庁(INPI)の近年の活動

ブラジル特許庁(INPI)が最近の2週間に特許審査に関わる発表が多数あった。

  • 総合的な審査基準草案についてパブリックコメント募集

ブラジル特許庁(”INPI”)は2015年3月16日に総合的な審査基準の第Ⅱ部(“Bloco II”)の草案がパブリックコメントを募集するために公開が発表された。本審査基準は特許要件について規定されている。特に、発明に該当しないもの、特許を受けることができない発明、産業上利用可能性、技術水準、新規制、進歩性についての規定がある。また、マーカッシュ形式の請求項および組成物の請求項についても規定されている。

パブリックコメント募集に対して意見を提出したい者は公開から60日以内に一定の書類によって提出が認められる。従って、意見提出の締切は2015年5月14日となる。第Ⅱ部のポルトガル語版はこちらでダウンロード下さい

総合的な審査基準の第Ⅰ部(“Bloco I”)の草案は発明の名称、明細書、請求項、図形及び要約について規定され、2012年7月に草案がパブリックコメントを募集するために公開が発表された。そして2013年12月4日に決議124号によって(Resolução nº 124)審査基準の第Ⅰ部は施行してきた。第Ⅰ部のポルトガル語版はこちらでダウンロード下さい

  • バイオテクノロジー関連特許出願の審査基準

2012年11月、ブラジル特許庁(”INPI”)は、バイオテクノロジー関連特許出願の審査基準の草案を公開し、パブリックコメントを求めた。その後、2015年3月17日に、INPIは、公式的にバイオテクノロジー関連特許出願の審査基準を公開するに至った。

本審査基準は、バイオテクノロジー関連技術、リーチ・スルー・クレーム、特許が付与できない発明主題および特許微生物の特許性について規定されている。それに、生物学的配列、オリゴヌクレオチド、プロモーター遺伝子、遺伝子組み換えのベクター、デオキシリボ核酸(相補的DNA)、リボン核酸、発現遺伝子配列断片、オープン・リーディング・フレーム、タンパク質、タンパク質小片、融合タンパク質、免疫体、その他についての出願用語と定義を包含する

本審査基準は、また、肝細胞及び肝細胞を含む細胞運動プロセス、遺伝子組み換え植物、それらの一部及びそのような結果を得るためのプロセスについて包含する。ブラジルの遺伝資源にアクセスして完成された発明の手続き等も規定されている。

新しい審査基準は、2015年3月17日より施行されている。ポルトガル語版はこちらでダウンロード下さい

  • ブラジルのグリーンパテント制度の更新

ブラジル特許庁(INPI)が決議第145/2015号(Resolução nº 145/2015)を発行し、グリーンパテントプログラム制度のフェーズⅢの期間を延長した。フェーズⅢは決議第131号の発行によって始めたが、2015年4月16日までしか施行されない予定であった。本更新によって、フェーズⅢは2016年4月16日まで施行する予定となった。

グリーンパテントのための早期審査を受けるための申請を提出したら、対象となる出願が条件を満たすか否かを特別委員会に審査される。その条件は下記の様になる:

・ 出願の対象はグリーン技術とみなされるもの(グリーン技術とみなされるものはこちらのリストのものとされる
・ 請求項数は15項以内で、独立請求項は3項以内であること
・ その他の早期審査が適用されていないこと
・ 維持年金料が正当に納付されたこと
・ O.A.に対する応答機関中ではない出願

ブラジル特許庁のグリーンパテントプログラムは、最初に受理された500件に制限されるが、現在のフェーズⅢにおいて110件は既に受理された。その中から30件は既に登録になった。

去年の決議第131号の発行についての記事はこちら
グリーンパテントを含めてブラジルにおける特許の早期権利化の方法の記事はこちら

ホベルト
ソース:INPI

3月 25, 2015 at 18:03 コメントを残す

ブラジルの最初のグリーンパテント登録

最近の計画から得た成果及びこれからの課題を発表するため、3月19日~21日で行われたINPIカンファレンスの中で、環境技術に関する特許出願に対して特別な優先審査制度「グリーンパテント」(ポ:Patentes Verdes)を経て出願された1件が既に登録になったことが発表された。

ブラジル特許庁が3月12日の公報によって登録が公表された。当該発明は二つの異なる熱源からなる熱勾配に基づいて廃棄物の処置に間する方法である。

当該登録は「グリーンパテント」特別な優先審査制度に移動するための請求から9ヶ月間で最終査定まで至った。最初の目標は、「グリーンパテント」への移動から2年間で最終査定が決定されることであったので、9ヶ月間は極めて迅速な審査であった。現在、通常審査を通している特許出願は最終査定までに5年から10年間がかかっている状況である。

「グリーンパテント」に該当する発明は2012年から実施中であり、WIPOが発行する「IPC Green Inventory」に基づく環境に優しい及び環境技術における発明とみなされる。
また、環境技術に関する特許出願の上に、以下の要件も満たさなければ、「グリーンパテント」に該当しない。
-特許出願であること(実用新案は不可)
-国内出願であること(パリ条約ルートは可能であるが、PCTルートの出願は不可)
-出願日2011年01月02日からの出願であること
-請求項数は15項以内で、独立請求項は3項以内であること

2013年3月5日当時、67件の出願が「グリーンパテント」制度に移動され、その中で16件の出願は既に審査中である。

カラペト・ホベルト

ソース:INPI

3月 26, 2013 at 14:01 3件のコメント

第二医薬用途発明特許を明白に特許を受けることができない事項に置こうとした法案の却下

2012年10月17日にブラジル議会の経済発展・産業・貿易委員会が2007年の法案第2511号を最終的に却下した。
法案第2511号は、明白にスイスタイプクレームの記載が禁じることによって、第二医薬用途発明特許を登録することを不可能にさせることを図った。

第二医薬用途発明とは、既に医薬品として使用されている化合物を有効成分として用いるが、適用する患者が従来と明確に異なる医薬や、適用部位が従来と異なる医薬である。例えば、熱の症状の治療薬として開発されたものを、後で心臓病の治療質を見つけた場合となる。その新たな医薬用途は前の医薬用途に関する特許登録と独立的な発明と考えられる。

ブラジルではスイスタイプクレームの記載が特に禁じられていないため、ブラジル特許庁にとって第二医薬用途発明特許を認めても良いという見解があるが、ANVISAにとって第二医薬用途発明に関する特許出願は原則として新規性がないとしている。そのため、現在、医薬発明におけるANVISAにより事前承認があるので、第二医薬用途発明特許が実務上で不可能となっている。

ブラジル議会の経済発展・産業・貿易委員会にとって、明白にスイスタイプクレームの記載を禁止にするとしたら、それは医薬用途に関するブラジル企業の研究・開発をを妨げるものになると論じられた。また、研究・開発の促進や発明の保護と図っている憲法に関する規定にも反すると論じられた。

その立場をとることで、ブラジルはアルゼンチンの反対側の方向に向かうことになる。アルゼンチンでは、近代に、審査基準で明白に第二医薬用途発明特許を不可能にした。

カラペト・ホベルト

11月 1, 2012 at 01:51 コメントを残す

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