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ブラジル特許庁が位置商標の制度の導入

 2021年9月21日に公開された公報第2646号にブラジル特許庁(INPI)省令(Portaria)PR 37号(2021年9月13日付)を公表し、ブラジル産業財産法第122条に基いて位置商標の制度を導入することを発表しました。省令PR 37号は第5条によると2021年10月1日から施行されます。されに、2021年9月21日、ブラジル特許庁は位置商標の出願に関する追加説明のためにテクニカルノートINPI/CPAPD No.02/2021(Nota Técnica INPI/CPAPD nº 02/2021)を発行しました。

 省令PR 37号の第1条によると、位置商標の登録は、出願の対象の商標が所定の物の単一かつ特定の位置に設置されており、当該位置での商標の設置が技術的または機能的効果を持たない場合に可能となります。よって、位置が特定できない場合、もしくは、位置に機能性がある場合、出願が拒絶されます。また、テクニカルノートの「3.2」では、位置の特定性は、位置そのものだけでなく、対象物における標識の割合を考慮して審査されると決められています。テクニカルノートの「4」では、対象物に設置される商標は、法律で認められる標識であれば、視覚的に認識可能な要素(例えば、単語、文字、数字、表意文字、記号、図面、画像、図形、色、パターン、形状、又はこれらの結合)によって構成することができると定めています。

 第2条によると、省令PR 37号が施行する前にブラジル特許庁に提出された審査中の商標出願の種類については、位置商標の要件を満たしている場合に、出願の種類を「位置商標」に変更することができることにしています。変更申請は、省令の施行日から90日以内に行う必要があります。テクニカルノートの「10.1」については、商標出願の商標見本の変更があった場合、出願は再公開され、第三者による付与前異議申立の期間が改めて開かれることになります。

 第3条によれば、位置商標の審査は、ブラジル特許庁内のシステム等に必要な調整ができるまでに始まらないと決めました。また、第4条では、位置商標の電子出願は、特定の法令によって規則されたから開始されるとしています。テクニカルノートの「24」によると、電子出願の規則ができるまでに、位置商標の電子出願は立体商標として提出すべきと定められています。

 商標出願の記載等の詳細については、テクニカルノートの「6」によると、位置商標の出願に添付する商標見本には、商標の正確な位置と比率を表す見本を提供しなければならないと定義されています。追加の商標見本を提出することも可能です。また、「7」に基づき、商標見本に設置されている物は点線または破線で表現する必要があります。また、「8」では、位置商標の説明文書を提供しなければならないとしています。「9」によれば、位置商標の範囲が十分に明確でない場合には、オフィスアクションが発行されます。

テクニカルノートによる拒絶される位置商標の例

 審査は、主に(a)標識の識別性と(b)位置の識別性の2つの要素が考慮されて行われます。例えば、鍋の蓋の縁に色を塗ることは、識別力の位置ではないとしています。別の例では、コーヒーメーカーのハンドルに一文字(例えば「A」)を使用することは、その標識に識別力がないため拒絶される。商標が装飾的としか判断されない場合は、その商標には識別力がないと判断されます。

 機能性の判断については、ブラジル特許庁は、以下の点を考慮されます。

  • 対象物の使用を容易にし、その性能を助けるものであるか。
  • より良い装飾的結果を得るために、装飾的の形状を隠す。
  • 安全に使用できることを示すために、装飾的の重要な部分を強調する。
  • 商品または役務を識別し、同一、類似または類似の他の製品と区別するという役割とは相容れない、その他の装飾的または技術的な結果を得ること。

位置の特定性については、装飾的の異なる位置に1つ以上の商標が設置された構成された場合は、位置商標として登録できません。また、割合が広すぎて適切な位置を特定することができない場合も位置商標として登録できません。

省令PR 37号の原本(ポルトガル語)はこちらをクリックして、ダウンロードすることができます

ホベルト

9月 24, 2021 at 20:35 コメントを残す

ブラジル特許庁はバックログ解消のためのタスクフォース

2016年に、ブラジル特許庁が自分のサービスを改善することを目指し、様々な企画をたている。その中では、新長官ピメンテル氏はPCT出願の審査、意匠登録のための実体審査(*1)、および特許と商品に関する審判の判断のためにタスクフォースを組む企画がたてられた。

タスクフォースはブラジル特許庁の従業員58人によって構成され、 2016年1月1日から2016年12月31日の1部に勤務時間の一部をタスクフォースの仕事にわりあてる予定である。

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タスクフォースは4つのワークグループに分けられる。第一グループは32人の審査官と9人のテクニシャン(*2)によって構成され、 PCTの国内移行を手掛ける予定である。第2グループは審査官1人、テクニシャン3人とスタッフ6人で様々な手数料の納付を確認し、電子化する予定である。目標は、ブラジル特許庁PCT部門とタスクフォースの努力によって、 2016年のうちに6万5,800件の審決(*3)を下す予定である。

第3グループは審査官1人、テクニシャン1人によって構成され、意匠登録の実体審査に手掛ける予定である。 2015年11月現在、実体審査待ちとして1万3,969件があった。目標は、 2016年において9,581件の審決(*3)を下す予定である。

第4グループは上位専門家1人とテクニシャン4人によって構成され、審判部(CGREC)をサポートする予定である。 2016年において、商標に関する審判3,080件と特許に関する審判22件を解決する予定である。

筆者にとって、それは良いニュースだといえる。経済的に不景気な状態にあるブラジルでは、必要となっている新しい審査官の採用がしばらくできなくなった。そこでは、現在いる審査官の生産性を向上させなければならないが、それは簡単にできるものではない。その意味で、緊急状態対策のような計画が望ましいと筆者が思う。しかし、タスクフォースの仕事は、参加している人の生産性に大きな影響を与えない程度にするのがチャレンジえだろう。しかし、特許の審査もそうであるが、意匠の問題も厳しい状況である。

ホベルト

ソース:INPI

*1 ブラジルでは、意匠登録について無審査主義を採っているが、登録後に経理の有効性を確認するために、実体審査を請求することが可能である。それは、日本で言うと実用新案に関する技術評価書を申請するみたいな制度である。

*2 ブラジルでは、審査官(正式的にブラジルポルトガル語で「pesquisador」という)になるために修士学位以上の習得が要件とされている。テクニシャンは、審査に関する仕事一部ができ、それ以外審査官をサポートするものである。また、ソフトウェアや半導体の登記を使おうものである。テクニシャン(ポルトガル語で「tecnologista」という)になるために大学卒業だけでなれる。上位専門家(ポルトガル語で「especialista sênior」という)は、2006年に作られた役職であり、技術に関する高度な検討を始め、技術的な知識を普及を含めて知的財産に関するプロジェクトを計画することもできるものである。上位専門家になるために、博士学位以上をを有することが要件とされ、 10年以上の経験が必要とされる。

*3 ここで「審決」と言うと、付与査定や拒絶査定のみならず、拒絶理由通知やその他のオフィスアクションも含めている。

 

12月 24, 2015 at 06:23 コメントを残す

南米におけるアップルiPhoneに関する諸問題

2012年に、中国企業がiPadの商標権を有しており、アップルがその理由で中国におけるビジネスが妨げられるというニュースが世界中に話題になった。その件について、アップルが中国での「iPad」の商標権を持った台湾のProview Electronics社に、6,000万ドルを支払って商標権を確保することに同意した。しかし、アップルが新興国における商標権について安心することができない。最近、メキシコについても、ブラジルについても問題が生じている。

メキシコの件について、iFone, S.A. de C.V.社が2003年04月30日に「iFone」の商標出願を提出し、2003年07月07日にメキシコ特許庁に付与された。アップル社が2007年に「iPhone」を発売され、メキシコに対する最初の出願は2006年09月26日に提出された。2009年にメキシコ市場への移動しょうとし、先願の関係でアップル社が問題を認め、iFone社に対して「iFone」の商標権を無効にするために訴えを提起した。その訴えに対して、iFone社が商標侵害を旨に応訴した。2012年10月25日にメキシコ行政問題高等裁判所の第18法廷(18° Tribunal Colegiado de Distrito en materia Administrativa)がアップル社の主張を却下し、iFone社の商標を維持し、商標権侵害の主張を容認した。

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ブラジルの場合は、2013年02月13日にアップル社が提出した「iPhone」のための商標出願の拒絶が広告された。その理由は2000年03月29日に提出された先願「Gradiente Iphone」である。Gradiente Electrónica社が数年前からアンドロイドベースのスマートフォンを「Gradiente Iphone」という商標の下で販売している。2013年02月13日から60日間以内に拒絶に対する不服申立が可能である。

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メキシコと異なり、ブラジルにおいて未だ無効訴訟及び侵害訴訟が提起されていない。商標出願の拒絶だけで、アップル社がGradiente社に訴えられない限り、「iPhone」の商標を使えるが、その状況が間違いなく望ましくないであろう。アップルの最高経営責任者であるティム・クックは既に中国に続き、ブラジルが注目するマーケットになると報告した。

メキシコにおいても、ブラジルにおいても、中国のように買う話がないが、アップル社がいかにしてそれを解決するかを興味深く期待されている。

カラペト・ホベルト

2月 14, 2013 at 07:47 コメントを残す

ブラジル特許庁のCo-Existance Agreement(商標並存契約)についての意見

ブラジル特許庁の法務局が8月21日にINPI/CPAPD第001号/2012年という規範通達(Parecer Normativo INPI/CPAPD nº. 001/2012)を発行した。この規範通達は、商標登録をとるためあるいは商標権の維持をするため、商標並存契約の認識の基準を明確に定めたものである。

商標並存契約は、普段は同商標または同類商標のオーナーによりその使用の制限や条件が定められ、旧の商標のオーナーは新しい商標の登録や使用を止めようとしない契約のことである。

2010年までは、商標分析のために利用されるブラジル特許庁内のガイドラインによると、このような契約は、場合と条件により、シニア―商標を基に作られたジュニア―商標、またはシニア―商標をコピーしたジュニア―商標の登録を法律的に禁止する行為を防止するという理解があった。

2010年12月に新ガイドラインが公表されたが、この課題に関する文章が短縮させられ、商標の応用における商標並存契約に関する議論の大部分が停止された。

規範通達は、この議論を埋め込むために発行されたが、新しいガイドラインに商標並存契約に関する文章を完成させている。単純に言えば、この規範通達によると、上述のような契約が結ばれたにしても、契約自体が商標登録禁止を予防することは、法律上ではできなくなっている。ただし、そういった契約はブラジル特許庁による商標検査・分析に利用される補助材料となり得る。

また規範通達によると、シニア商標・ジュニア商標間のこういった契約・同意があったのにも拘らず、商標の利用・理解における混雑・困難が発生し得る場合、検査を進めている側は、office actionを発行することが出来、ジュニア商標のオーナー、または代理者にその商標を基とする商品・サービスなどの利用範囲を制限することが可能である。

更に、しかも意義深い改善策として、この規範通達は摩擦要因を排除するためなら、商標自体における改正案を承認している。無論、その改正案が商標のイメージ・特性をダメージしない限りのことではある。ここで注意すべきなのは、本来としてはブラジル特許庁が商標オーナーに商標におけるイメージの要素削除・加入を当該出願が公開された後に許可することはなかった。

最後に、本件の規範通達は、本来のものと異なり、広告システムをより明確化し、ブラジルにおける商標オーナーにとって重大なものである。それにより新しいガイドラインは効果的に利用・解釈されるようになり、商標並存契約等に関する同意問題や登録問題に光を当てているのではないかと思われる。

カラペト・ホベルト

ソース:INPI

8月 28, 2012 at 15:41 コメントを残す


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