ブラジル司法最高裁判所(STJ)による著作権侵害(パイラシー)の違法性の確認
ブラジルでは、刑法184条2項では著作権侵害によって作成された模倣品の販売を犯罪にしている。しかし、近年ではときどき刑事裁判所が「princípio da adequação social」(社会適合の原則)に基づいて、行為を犯罪として処罰することが妥当ではないという判決が下されていた。特に第2進の判決としてそのような判決がトレンドになった。
「princípio da adequação social」(社会適合の原則)とは、社会上である行為(この場合に著作権侵害によって作成された模倣品、特にCDやDVD、に関する販売行為等)に対して違法性が認められていないため、その行為に対して科される刑罰を予め、明確に規定してあるとしても、その行為を犯罪として処罰することが妥当ではないとされる原則である。教科書レベルの例として良く利用されているのは、ブラジルで女性の赤ちゃんの耳を母親がピアスを開けるが習慣であるが、その行為は一般的に「暴行罪」として認めなければならないが、その行為を犯罪として処罰しない。

ブラジルの模倣品商店
そのようなトレンドを修正するために、ブラジル司法最高裁判所(STJ)が特別上訴(Recurso Especial)1.193.196を判断するに当って、「súmula」(判例要約)を発行することにした。当事件では、ある女性が自分の商店には模倣品DVD170枚と模倣品CD172枚を販売に申出していた。第1審では「princípio da adequação social」(社会適合の原則)が利用され、無罪とされた。第2進では第1審の判決を維持した。しかし、ブラジル司法最高裁判所(STJ)がその判決を覆して、有罪とした。
この判決から「súmula」(判例要約)第502号が次のように規定された「行為性並びに有責性が存在する場合に、販売の申出という行為が刑法184条2項の行為が違法である。」(“Presentes a materialidade e a autoria, afigura-se típica, em relação ao crime previsto no art. 184, § 2º, do CP, a conduta de expor à venda CDs e DVDs piratas”)。
ブラジルでは先例の判例は後の判例に対して法的拘束力を有しない。しかし、最高裁判所が発行する「súmula」(判例要約)は通常の判例よりも影響力を有すると思われる。「súmula」(判例要約)とは、裁判所によって法律問題に対して裁判所の通説的理解を要約文である。
筆者にとって、それは可也嬉しい動きと思い、ブラジルが国として、模倣品に対して意識を変えたい証の一つかもしれない。また、著作権(工業所有権と異なり)について大事な刑事救済が円滑的に利用されるために大事なことである。
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1.
Ken Honda | 12月 5, 2013 14:26
日本語が本当に上手くて驚きました。
有益な情報を沢山、ありがとうございます。
2.
theipcrowd | 12月 19, 2013 10:11
本田様、ありがとうございました。これからも頑張ります。
何か私が役に立てることがありましたら、ご連絡下さい。